てんかん発作を繰り返すチワワの保護犬、スタッフが根気強く治療 「元気になって幸せをつかもうね」
2021年春、保護犬団体・smilewanにその命を救われたチワワのちーむす。経緯はわかりませんが、出産の跡があります。
小さな体で不安な思いを乗り越えてsmilewanにやってきたわけですが、比較的おとなしい性格で、他のワンコとの協調性も十分。すぐに先住犬たちと溶け込み、一緒に遊ことができました。
しばらくすると、何度もてんかん発作を起こすようになりました。しかも、その発作は不規則で、1日1回起こすこともあれば、しばらく発作が出なかったものの、ある日突然また起こすこともありました。スタッフはちーむすが発作を起こすたびに、胸が苦しくなりました。
■発作回数が増える・減るごとに投薬を調整
smilewanに保護された後、ちーむすは預かりボランティアさんの家で過ごすことになりましたが、前述の発作がたびたび起こるため、投薬しながらの生活となりました。預かりボランティアさんの娘さんが元獣看護師で、ちーむすがてんかんを起こした際でも慌てずに対応してくれ、この点、smilewanのスタッフは本当にありがたく思いました。
てんかん発作が起きないときは、すごく元気でオモチャを運んできてくれるような、明るいちーむすですが、てんかんの回数が徐々に増えてきたため、獣医さんの診断を経て投薬を増やす、変えるなどを繰り返すことになりました。
■1カ月間発作がなかったのに、5日後にまた発作
そんな日々をおくるちーむすでしたが、1カ月ほどてんかん発作が起きない時期がありました。「もしや薬が効いたのかも?」と思い、獣医さんに診てもらうと、「少しずつ薬を減らしていきましょう」との診断。スタッフにとっては光が見えたかのように感じましたが、それからわずか5日後に、ちーむすは再びてんかんを起こしてしまいました。
■ヴィーガン食にして多少は良くなったものの…
同時期、預かりボランティアさんの家にいた仲間のワンコが亡くなったこともあり、どこかちーむすは寂しげな表情を浮かべるようになりました。
そのたびに「ちーむすちゃん、元気出してね!」と声をかける預かりボランティアさんでしたが、一方のてんかん発作の不安は依然として消えません。一説によると、てんかんはアレルギーが原因とも言われており、ここで預かりボランティアさんはちーむすのご飯をヴィーガン食に変えてみることにしました。
すると、保護当初からのちーむすの顔の涙焼けや、ときおり痒がっていた足周りの赤みもなくなりました。
「良かった。やっぱりてんかんは、食物アレルギーから来るものなのかな」と思うスタッフでしたが、ヴィーガン食に少しずつ鶏肉、豚肉、牛肉などを加えると、3日くらい経ったところで、また涙焼けが起こります。さらにはまた久しぶりにてんかんを起こしてしまいました。
1歩進んで数歩下がるような試行錯誤が繰り返されましたが、最初の保護から約半年後、ちーむすは3カ月ほどてんかん発作を起こさなくなりました。
■「元気になって絶対に幸せな生活をつかみとろうね」
3カ月間、てんかん発作を起こしていないからといって完治したとは考えにくいですが、ここまでがんばったちーむすです。ちーむすを迎え入れてくれる里親さんの募集を正式に始めることにしました。
しかし、ちーむすがてんかんの発作を起こす可能性があることを、スタッフがブログなどで隠さず紹介しているせいなのか、里親希望者さんからの問い合わせがなかなかない状況です。この間も何度もてんかん発作を起こすようになることがあり、そのたびに投薬を増やし、発作がなくなれば投薬を減らす……を繰り返してきました。
それでもスタッフは諦めず、今日もなおちーむすの新しい家族を探し続けています。最後にスタッフにその思いを聞いてみました。
「相変わらずちーむすちゃんは連続して複数回のてんかん発作を起こすこともあります。しかし、それでもちーむすの性格自体は明るく元気で、実に良い子です。今後もてんかん発作の治療を継続していきながら、こういったちーむすの持病も含めて受け入れてくれる里親さんを募集し続けます。ちーむす、元気になって絶対に幸せな生活をつかみとろうね」
(まいどなニュース特約・松田 義人)