推定15歳、目が見えず耳が遠いおじいちゃん犬 健康で穏やかな性格 「同じ風景を見て言葉で伝えてくれるような」飼い主さん、募集中です

動物愛護センターに収容されるワンコは、子犬からシニア犬まで様々。そのバックボーン・健康状態もまた様々ですが、昨年末センターに収容されのがダックスフントのこまちゃん(オス)。推定15歳のハイシニア犬で、元飼い犬と思われます。目が見えておらず、耳もあまり聞こえていない様子でした。

■実はおとなしいままのワンコではなかった

このこまちゃんを引き出すことにしたのが、犬保護団体リアン(以下、リアン)のスタッフ。年老いた体で、長年一緒に過ごしたであろう飼い主と離れ離れになり、小さな体で不安を抱えながらセンターに来たことを思うと、胸が苦しくなったとスタッフは言います。

そんなスタッフを前に、対面したこまちゃんはじっと一点を見つめおとなしい様子でした。しかし、こまちゃんを引き出した後、病院に連れていき採血をお願いした際には、おとなしさから一転。「俺は嫌なものは嫌なんじゃ!」と言わんばかりに大暴れしたとのこと。

この話を聞いたスタッフは、「おとなしくされるがままの爺さんワンコではないところがいい。良き!」と思ったと言います。何故なら、こまちゃんには、秘めたるエネルギーがあり、だからこそここまで生き抜いて来られたのだと感じたからです。

■お医者さんから「健康優良児だ」と言わしめる

こまちゃんは目が見えない、耳が遠いといった障がいがありましたが、それ以外の健康状態はどうなのでしょうか。すぐわかるのは歯石のひどさ。この歯石を放置してそこからばい菌が入っては良くないと、スタッフはお医者さんに、こまちゃんの歯石除去をお願いしました。

ただし、歯石除去に伴う麻酔はワンコに相応の負担がかかるもの。ましてはこまちゃんのようなハイシニア犬とっては大幅な負担になります。そこでお医者さんは、まずこまちゃんの健康状態を細かく診てみることにしました。すると……。

心雑音もなく、血液検査もオールOK。歯も健康で、歯石は確かにひどい一方、抜歯などはしなくて良いとのこと。もちろん麻酔も問題なくできそうで、お医者さんからは「健康優良児だ」と言われるほどでした。これにはスタッフも驚いたそうです。

せっかく麻酔するのだからと、歯石だけでなく、こまちゃんのおでこにあったオデキの除去もお願いすることにしました。

■推定15歳の高齢犬の里親探しをする理由

手術は無事成功。こまちゃん自身も普段と変わらぬ様子で帰ってきました。

ところで、こまちゃんを動物愛護センターから引き出した際、スタッフは知人や周りの人たちから「この子、本当に里親さん募集をかけるの?」とよく聞かれたそうです。言い換えると、「ハイシニア犬だから、里親さんを募集しても難しいんじゃないか?」ということになりますが、スタッフはこういうときはっきりと「もちろん、ゆくゆくは募集をかけます」と言います。その理由についてスタッフに尋ねてみました。

「こまちゃんは確かに目が見えないし、耳も遠いし、推定15歳のハイシニア犬です。でも、この年まで一緒に過ごしてきた飼い主と離れ離れになり、不安を抱えながら生き抜いています。そんなこまちゃんのことを、たくさんの人に知っていただきたいし、さらには、そのこまちゃんと一緒に過ごしてくれる里親さんがきっと見つかると私は信じています。だからこそ、こまちゃんの里親希望者さんを募集したいと思っているんです」

■目が見えないこまちゃんに、景色を言葉で伝えてくれる方を

ここまでに紹介した通り、普段のこまちゃんは目、耳以外は極めて健康体で穏やかで、日中は日当たりの良いところでスヤスヤお昼寝したりしています。排泄もシートの上できちんとやれます。

スタッフはこまちゃんの性格や行動を一定期間見て、ついに里親希望者さん募集をかけ始めました。スタッフの思いを最後に聞いてみました。

「私どものところには、次々と新しいワンコが来ます。このため、目が見えない、耳が遠いこまちゃんにとって、過ごしやすい環境とはいえません。他方、こまちゃん自身は高齢ではありますが、よく食べ、よく寝て、よく動くいたって健康で穏やかなワンコです。そんなこまちゃんがのんびり、まったりと過ごせる環境で、一緒に過ごしていただける方が新しい里親さんだといいなぁと思っています。

また、目が見えないこまちゃんとたくさんの景色を一緒に見て、こまちゃんに言葉で伝えていただけるような優しい里親さんだと嬉しいです。こまちゃんに興味がある方からのご連絡をお待ちしています」

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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