【無理ゲー】高校合格おめでとう→翌日までに授業料の指定口座を用意せよ!? 入学準備のスケジュール、学校側はどう考えているのか
我が子が晴れて志望高校に合格したというのに、同僚が愚痴っている。
「合格発表の当日に、翌日の入学説明会に授業料の引き落とし口座の申込書を持参するよう言われた。しかも銀行は指定されていて、ウチはそこの口座を持っていない。ということは、その日の午後3時までに窓口に行って口座を開設しないと間に合わない。午前中は妻も自分も仕事に出ていたこともあって、それに気づいたのが午後。無理やろ!」
確かになかなか厳しめのスケジュールだ。とはいえ、高校側も保護者をわざわざ困らせようとしているはずもなく、きっと事情があるに違いない。取材してみた。
■「全員提出できるとは考えていない」
同僚のお子さんが受かったのは、神戸市内にある兵庫県立A高校。県内の一般入試は3月10、11日に行われ、合格発表は17日にあった。同僚が言うには、合格者にはその場で入学準備書類一式が配布されたのだが、その中に挟み込まれていたのが「授業料等口座振替申込書」。金融機関はZ銀行に指定されており、書類の端に「3月18日(土)提出」と明記されていた。
授業料などを担当する県教委の財務課によると、どの金融機関を指定するかや、指定する金融機関の数などは、高校によって違うという。当然、口座提出の締切も統一されてはいないらしい。
お子さんがA高校に合格したという別の同僚にも聞いてみた。
「確か募集要項に『18日に説明会がある』とは書かれていたけど、授業料の引き落とし口座のことは記載がなかったと思う。私も『え、明日までに準備するの?』とちょっとびっくりしたし、そこの口座を持ってなくて焦っているママ友もいた」
とはいえ、さらに別の同僚は「いちいち文句を言うほどのことではない」と理解を示すなど、当然、受け止めは人それぞれである。
A高校の担当者は取材に対し、「全員が次の日(18日)に提出できるとは思っていません。こちらとしても、タイトなスケジュールをお示しして申し訳ないという気持ちはあります」と回答。「書類は学校、銀行それぞれのチェックが必要なので、提出は早ければ早いほど助かる。翌日の説明会で出せる人は出してほしい、ということです。間に合わないという人には翌週、翌々週でも大丈夫だとお伝えしています」
ちなみに、冒頭の同僚のように翌日提出できなかったのは新入生の2割弱。しかも提出できた8割強の中にも、記入漏れなどの不備が複数見つかっているといい、やはり全部きちんと揃うまでは高校側もかなり骨を折るようだ。
■入試の時点で指定金融機関を伝える高校も
取材を進めてみると、これは決してA高校特有の事情ではなく、どこも似たり寄ったりであることが見えてきた。例えばB高校(県立)も翌日提出で、指定金融機関はひとつだけ。一方、C高校(県立)は翌日提出というところは他の2校と同じだが、指定金融機関は3つあるという。
またC高校で特筆すべきなのは、入試の時点で受験生に「合格したら授業料の引き落としで3金融機関のいずれかの口座が必要になる」と知らせていたこと。それでも合格発表翌日に提出できなかった人が「多数いた」というから難しい。
C高校の担当者は「最初の提出日を合格発表の次の日に設定しているのは、それを逃すと入学までに学校に来ていただく機会が制服受け取りや事務手続きなどのある4月6日だけなので、書類提出のためだけにわざわざ御足労をかけることになってしまうから」と説明。18日に提出できない場合は、「3月中」に出すよう求めているそうだ。
■保護者の願い「せめて事前に教えてほしい」
兵庫県以外はどうだろう。
Twitterで高校の入学準備が大変だと嘆いているアカウントを見つけたので、話を聞かせていただいた。その人は北海道在住で、お子さんが進学するのは公立高校という。
「合格発表は17日で、口座の提出は28日までと多少余裕はあったのですが、平日はフルタイム勤務で、昼休みは銀行の昼休みと被るため、口座開設のために半日有給を取らざるを得ず…。しかし3月の後半は仕事が忙しくて休みを取れる状況ではなかったので、結局、平日休みをもらっていた合格発表日の17日に急いで口座を作りに行きました」
ということは、「提出期限に余裕があればOK」という単純な話でもないらしい。いい機会なので、その人に何か改善できそうな点や、要望したいことがあるかを尋ねると、「指定口座がマイナーな銀行で、口座を持っていなかったのが落とし穴になりました。せめてどの金融機関なのかを予め教えておいていただけたら。事前にできることは、余裕を持って準備をしたいですからね」と話してくれた。
この点については、例えば先ほどのC高校は入試の時点で伝えていたが、A高校の担当者は「本校に進学するかどうかわからない受験生もいる中で、授業料の口座のことをお知らせするのはちょっと考えにくい」と慎重姿勢。いずれにせよ、受験生の保護者は、無事に合格した後もまだまだ試練が待っていると、そういうことらしいです。
(まいどなニュース・黒川 裕生)