「余命1、2年かもしれません」母犬の膀胱には悪性の腫瘍 捨てられた親子の平穏が一日でも長く続きますように

動物保護チーム・わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)。昨年10月、福岡の動物愛護センターから、4頭の収容犬を保護しましたが、そのうちの2頭はどうやら捨て犬だったそう。2頭はよく似ており、親子のように思われました。

■同じ漢字「空」と名付けられた親子ワンコ

連れ帰った2頭をすぐに動物病院へと連れていき、獣医さんに体調のチェックをしてもらうことにしました。お母さんワンコを「ソラ」、息子ワンコを「クウ」と名付けました。どちらも漢字にすると「空」。「人間から捨てられる」「動物愛護センターに収容される」という悲しい経験をした親子ですが、親子で耐え続けたその絆に、同じ漢字の名前にしてあげたいというスタッフの思いが込められました。

獣医さんによると、クウはフィラリア陰性で、血液検査でも特に問題ないとのこと。そして、歯をチェックするときもジッとしており、穏やかな性格がうかがえました。

■お母さんワンコの診断は「余命1、2年」

続いてソラも健康チェックをしてもらうことに。獣医さんが心臓音を確認しようとすると、クウは抵抗することなく、診察台の上でゴロンとお腹を見せてくれました。クウが穏やかだったのは、このお母さんワンコの血を引いているからかもしれません。

肝心の検査結果は、フィラリア陰性で、血液検査も腎臓・肝臓・貧血など問題ありませんでした。しかし、ソラは動物愛護センターにいた頃から血尿が出ていたようで、病院でも大量の血尿を出しました。そのため、尿検査とエコー検査もすることになりました。

検査でわかったのは、膀胱の中の悪性腫瘍でした。後に行う避妊手術の際、この腫瘍も一緒に取りたいところでしたが、尿管が繋がっている場所にできており、手術は難しいとのこと。このため抗生剤や止血剤、そしてがんに効果的な薬を服用して、様子を見ることになりました。

しかし、獣医さんはこうも言います。「余命は1、2年」。お母さんワンコ・ソラは、前述のクウの健康診断の際、とても心配そうに見ていました。そして、ソラの見えないところにクウを連れていくと、「やめて」「返して」と言わんばかりに鳴いてもいました。保護した際は、ソラ・クウとも新しい里親さん探しを考えていたスタッフでしたが、ソラの余命を考えると、譲渡を諦め親子一緒に過ごしてもらうほうが良いのではないかとも思うようになりました。

■心を通わせながら安心してすごす親子

当面ははぴねすに関わる、預かりボランティアさんがソラ・クウの面倒を見てくれることになりました。

今後新しい里親さんへ譲渡するかどうかはまだ未定ですが、ソラに薬を服用させ体調をうまくコントロールしながら、怖い経験をした親子2頭が一緒に安心して暮らせることを最優先にお世話をし続けることにしました。

預かりボランティアさんの家でのソラ・クウは、2頭ともやはり穏やかな性格のままです。そして親子が心を通わせながら過ごしているようにも映るとのこと。ソラ・クウが仲良く安心して過ごせる日々が、1日でも長く続くことを願うばかりです。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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