「そうごう」は「綜合」?「総合」?……ALSOKの「よく間違えられる社名」には実は“別の意味”が込められていた
民間警備の草分けとして知られる綜合警備保障株式会社。社名の「綜合(そうごう)」を「総合」と誤って書かれる例が、今も少なくないという。「総合」ではなく、なぜ「綜合」なのか。ALSOK神戸支社の広報担当に聞いた。
■哲学的な意味が込められている「綜」の字
コーポレートブランドの「ALSOK(アルソック)」でテレビCMが流れているから、社名の「綜合警備保障」はあまり聞かなくなっている印象がある。
ちなみに「ALSOK」とは、「直ちに行動を起こす機動力」「モチベーションの高さ」、そして24時間365日いつでもセキュリティOKの気持ちと姿勢を表す「ALWAYS-SECURITY-OK」を短縮した言葉だそうだ。
さて、社名の「綜合」は、なぜ「総」ではなく「綜」の字が使われているのだろうか。その理由を尋ねるため、ALSOKに取材をお願いした。
ALSOK担当者によると、「総合」は、たんなる「とりまとめ」、すなわち複数の固体や事実の集合を意味し、静態的表現なのだそうだ。これに対し、「綜合」は対立する理想や理念を融合し、新しい時代の新しい理念をつくり出していく過程を表現する哲学用語で、動的概念をもつという。
「ですから『綜合』には、無限に拡大して発展するという、哲学的意味が込められています」
創業者の村井順は「一流の警備会社は、すべての警備業務を綜合的に実施できなければならない」と考え、社名を「綜合警備保障株式会社」と決めたのだという。
1965年の創業以来58年の月日が経っているが、未だに「総合警備保障」と誤って書かれることが多いそうだ。
ちなみに「〇〇総合警備保障」という社名を名乗っている警備会社もあるため、直接取引のない一般人には、たしかに分かりづらいかも。もっとも一般的にはALSOKというブランド名が広く知られており、「ALSOK」=「綜合警備保障株式会社」であることをこの記事で知った方も多いかもしれない。
■介護や社会インフラを支えるサービスも行う警備会社
警備業法第4条に基づく認定業者、すなわち都道府県公安委員会の認定を受けた警備業者の数は、令和3年12月末現在で1万359業者ある。内訳は、ALSOKのように関連会社全体あわせて3万8000人超の大手から、社員数10人未満までさまざまである。
ALSOKが創業した当初は、銀行や百貨店での常駐警備や現金輸送などを行い、一般の人々にガードマンのイメージが定着した。
創業から2年後には「機械警備」を開始。簡単にいうと、契約先施設の扉、窓、シャッター、建物内にセンサーを設置しておき、外部から侵入しようと窓を破ったりドアをこじ開けたりしたときにセンサーが反応して、警備会社で察知、ガードマンが駆けつけるシステムだ。
また、1970年には大阪で開催された万国博覧会の警備も行った。TOKYO2020オリンピック・パラリンピック競技大会でも大会警備の中心的役割を担ったことも記憶に新しい。
警備対象も企業から個人宅へと広げ、対象にしたホームセキュリティを開始したり、警備用ロボットの開発に1980年代後半から取り組んだりもしている。
2000年代に入ると、独り暮らしの高齢者が体調を崩したとき、ボタンを押すとガードマンが駆けつける「HOME ALSOK みまもりサポート」や、グループ会社で介護事業も行っているという。そのために必要な介護技能を習得する社内認定制度「ALSOK介助」を設けて、人材の育成も行っている。
■凶悪事件の多発でホームセキュリティの需要が高まっている
広域強盗事件が多くなったことでALSOKにも防犯に関する相談が増えており、防犯対策の相談を24時間365日受けているという。
「弊社では、体感治安の悪化を受けて、2023年4月よりスマホで簡単に操作や確認ができ、家族のライフステージに合わせてアップグレードが可能なホームセキュリティ『HOME ALSOK Connect』の提供を開始しました」
ALSOKでは、このサービスによりホームセキュリティ導入のハードルを下げ、より高い安全・安心を求める顧客のニーズにも応えていく考えだという。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)