「松屋や日高屋、セブンに行けなくなった」視覚障害者には不便なタッチパネル「バリアでしかない」 松屋は「点字メニュー検討」
飲食店など生活のさまざまなシーンで取り入れられているタッチパネル式の機械。一方、視覚障害者にとっての不便さを指摘するツイートが話題を呼んでいます。
ツイートしたのはコピーライターの澤田智洋さん。障害の有無にかかわらず誰もが楽しめるスポーツを開発する「世界ゆるスポーツ協会」代表理事で、東京パラリンピック閉会式の企画にも携わりました。
澤田さんは視覚に障害のある友人の談として「タッチパネルはどこを押していいか分からないからバリアでしかない」「これまで通っていた松屋や日高屋に行けなくなった。セブンイレブンの決済方法も選べない」という困難を紹介。「気がつかなかった」「店員を呼ぶにしても、以前は会話と指の感覚で自分でできていた行為ができなくなるのはストレスになりそう」といったコメントが寄せられ、5万件以上のいいねが集まりました。タッチパネルは飲食店だけでなく、スーパーのセルフレジ、駅の券売機やコインロッカー、行政の窓口などさまざまな場所で導入が広がっているのが現状です。
大手牛丼チェーン松屋では、入り口付近の食券機にタッチパネルを導入しています。松屋フーズは取材に対し「困っている方がいる場合、店舗従業員が個々にご案内をしております」とし「点字でのメニュー表記など前向きに検討をする所存です」としました。大手ラーメンチェーン日高屋のタッチパネルは各席に設置されています。運営会社ハイデイ日高によると、高齢者らが使い方が分からないといった場合も含め、困っている人がいれば従業員が代わりに操作するなどして対応しているといいます。視覚障害者に向けては「お気軽に従業員にお声がけしていただきたい」と呼びかけます。
■マイナンバーカード手続きでも
役所のマイナンバーカードの手続き窓口も例外ではありません。神戸市によると、数字4桁や英数字16字までの暗証番号を入力する際にも、紙に書いてもらったり口頭で言ってもらったりして職員が代わりに入力する対応をしているといいます。こうしたセキュリティ面を懸念する声も澤田さんのツイートに寄せられていました。
スマートフォンにデフォルト搭載されている「VoiceOver」機能に言及するコメントも。画面上の項目が音声で読み上げられる機能で、コカ・コーラ社のアプリ「Coke ON」のように「視覚障害者も手元のスマホで注文や購入できるようになればよいのでは」という意見です。一方で「タッチパネルは吃音の方にとってはむしろありがたい」という声もありました。今回のツイートは、多様な人たちが使いやすい仕組みについて議論を巻き起こす問題提起になりました。
澤田さんは取材に対し「今目の前にある世界は常に未完であり、もしかしたら誰かにとっては大きな不備や障害が残っているかもしれないという眼差しを持つ」ことが大切だとしました。「特にシステム、商品などの開発者の方には必要な目線かなと思います」と話しています。
(まいどなニュース・小森 有喜)