新人社員の証し? 新品スーツの「しつけ糸」、そのままにしてませんか 「春の風物詩」「4月あるある」

 4月のはじめ、JR神戸駅そばの地下街を猛ダッシュするスーツ姿の若い女性がいました。後ろ姿を見て「あっ!」。真新しいスーツのすそに真っ白い「しつけ糸」がついたままだったのです。

 スーツやジャケット、スカートなどのすそにある切り込みは「ベント」と呼ばれており、販売中は型崩れしないように目立つ色のしつけ糸で縫われています。購入後、糸は切り外して着用します。例えば、ユニクロのジャケットは、外側からは一見分かりませんが、内側にしっかりとしつけ糸が付いています。

 しつけ糸をそのままにしておくと、動きにくい上に、動いたときの服のシルエットが不自然になってしまいますが、冒頭の女性はどうも糸の存在に気付いていなかったようです。

■学生服メーカーも注意喚起

 「ブレザーの裾にある切れ込み『ベント』のしつけ糸がついたままになっていませんか?」。大手学生服メーカー「菅公学生服」(本社、岡山県岡山市)は8日、入学シーズンにあわせて公式ツイッターアカウントで注意を呼びかけました。

 同社担当者によると、投稿のきっかけはある学校の入学式だったそう。

 「数年前、ある学校さまの入学式に同席させていただく機会がありました。入場する新入生の皆さんを後ろから拝見していると、しつけ糸がついたままの生徒さんが少なくなかったため、これはお知らせしなければと考えました」(同社担当者)

 しつけ糸の存在を知らなかったり、うっかりミスだったり、原因はさまざまではないかと推測する担当者。「私自身もうっかりつけたままにしていて後輩に教えてもらった経験があります。正面の姿は鏡で確認しますが、後ろ姿まではなかなかチェックできないので…」と打ち明けます。

 「今朝、通勤してくる間にも糸がついたままの生徒さんをお見掛けしました。学生さんだけでなく、新社会人の方でもちょくちょくお見掛けするので広く知っていただけるとよいなと思います」(同社担当者)

■SNSには「朝から3人も見かけた」

 しつけ糸をつけたままの人は思いの外いるようで、ネット上には「新社会人ぽい男性に声をかけて糸を切ってあげた」「電車を降りる時に伝えた」「おせっかいだけど声かけちゃった」「朝から3人も見かけた」「今年も観測できるか」「4月あるある」「春の風物詩」など、しつけ糸にまつわる投稿が多数ありました。

 また、気付きながらも声をかけることにちゅうちょする人もおり、「教えるべきか悩む」「見ず知らずの人に声かけられたら怖いかな」といった声も。

 実際に教えてもらったという人たちからは「見知らぬおばさんに切ってもらった。恥ずかしい」「通りすがりの人が教えてくれたwww」「年上っぽいお姉さんが教えてくれた」「気付かずに入学式に行くところだった」「ハサミで切ってもらった上に、頑張ってねと応援までしてもらった」など、感謝の気持ちを伝える投稿もありました。

 この春、スーツや制服を新調した人は、いま一度、後ろ姿をチェックしてみてはいかがでしょうか。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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