保護されたのに乱雑に扱われていた子猫 小2の娘の靴紐を離さなかった子猫 個性豊かなみんなが集まって家族になった 

■猫の知識のない保護主

りょうたろうくん(1歳・オス)は、2022年3月、兄弟4匹と一緒に民家の庭の倉庫にいたところを保護された。まだ赤ちゃんだった。

保護主は母猫の帰りを待ったが、戻ってこなかったので保護したという。既に猫を2匹飼っていて、子どももいたので里親を探した。神坂さんは里親募集を見て、子猫たちに会いに行った。

「保護主さんに猫の知識があまりなく、乳飲子なのに牛乳を与えていましたし、小さな子どもが片手で子猫を乱雑に扱っていて、このままこの子たちをここに置いておいたら死んでしまうかも…まだミルクっ子だし…と思い即決しました」

神坂さんは、りょうたろうくんと、別に保護されたシロキジの赤ちゃん猫を引き取った。シロキジの子猫は友人の代理でもらい、ある程度育ったら友人に譲渡する予定だった。

りょうたろうくんを連れて帰ると、用意しておいた猫用ドームベッドに入ってひたすら寝ていた。おっとりどっしりしていて怒ることもない。今も変わらない。

神坂さんは2匹にミルクを飲ませて育て、やがてカリカリも食べられるようになったので、シロキジ猫を友人に託した。ところが1匹になると、りょうたろうくんの元気がなくなった。

「これはまずいと思い、同い年くらいの猫を探すことに。動物愛護センターで里親募集中の張り紙を見て、すぐに会いに行きました。その子がれなです」

■人懐っこい子猫

れなちゃん(1歳・メス)はりょうたろうくんより1カ月年上。公園にいたのだが、高校生が友人と自転車で帰宅途中、公園を通りかかった時に見つけた。あたりを見ると、ダンボールの上にまだ子猫が2匹いたのでそのままにしておけず、3匹とも自転車のかごに乗せて家に連れて帰り、里親を募集をしたという。

「3匹の中かられなちゃんを選んだ理由は、一緒に見に行った小学2年の娘の靴紐をずっと引っ張って足にまとわりついてきたからです。この子しかいないなと思い申し出ました」

れなちゃんを譲り受けて車に乗せると、娘さんの膝の上で爆睡した。家に着いても数時間眠り続けたという。夜遅く、お腹が空いて起きてきたら、りょうたろうくんを見てびっくり!シャーシャーと威嚇した。その上、りょうたろうくんの猫草の上にふんぞりかえって、渡さないアピールをした。

「れなはカリカリを食べられるのに、りょうたろうのミルクを見て欲しがるので、飲ませたら満足そうでした。りょうたろうと一緒にミルクを飲むうちにすぐに仲良しになりました」

れなちゃんの姉妹たちもそれぞれ別の家庭に引き取られたという。

■優しい長男と女王様タイプの長女

りょうたろうくんは、ミルクから育てているので、神坂さんをお母さんと思っているようだ。

「私が娘を大きめの声で叱っていると、必ず私の足元に来て顔を見上げ、うるうるの目で『なお?』『にゃぁぁ?』と話しかけます。多分、娘を心配して怒らないてほしいと思っているのでしょう。『ごめんね』と言うと、トコトコと何処かへ行きます」

神坂さんは料理中に手に火傷を負ってしまったことがあるのだが、立ってられないくらい痛くて、氷水で手冷やしていた。すると、りょうたろうくんが心配そうに、「なお?」と言いながら近づいてきたこともある。

「ずっと私のそばでスリスリしてくれて、そのうち私の手が入っているボウルが気になったのか、自分の前脚もボウルの中に入れ始めました」

れなちゃんは神経質でわがまま。

「高校生の息子にマッサージをしていたら、遠目でずっと睨みつけていました。そのまま無視していたら、高いところから息子にボディアタック!とてもやきもちやきです」

優しいりょうたろうくんと女王様タイプのれなちゃん。猫界男女の典型とも言えるが、神坂さんにとってはどちらも可愛い我が子だ。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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