見た目はかわいい花だけど…実は!? 道端で発見、専門家「自宅で育てると法令違反」
オレンジ色の花に交じって凛と咲くピンク色の花が、実は麻薬の原料だった-。埼玉県に住む会社員が見つけた道端の花の写真が「ヤバい」とSNSをにぎわせている。植物に詳しい専門家によると、大麻の成分を持ち、あへん法で禁止されている外来種。「見た目はかわいらしいですけど、自宅で育てると法令違反になります」とする。
見つけたのは、埼玉県に住む会社員(32)。4月上旬の昼過ぎ、道を歩いていると、車道と歩行者専用道路を隔てる植え込みに、見慣れない花を見つけた。元々、草花に興味があり、周りのオレンジ色の花が「ナガミヒナゲシ」と呼ばれる外来種だと知っていた。でも、ピンク色なんてあったっけ…?
よぎったのは、ニュースで話題になっていた話。家の庭でケシが自生していてそのまま育てていたら、警察に怒られた人がいた-。調べると、国で栽培が禁止されている植物に似ていた。念のため警察に通報すると、翌朝にはその花はなくなっていたという。「刑事課で確認すると言っていました。きっと、危険なケシだったんだと思います」
■ 繁殖力強く、あちこちに自生
兵庫県にある「県立人と自然の博物館」で植物分類学を専門とする高野温子さんに写真を見てもらうと、花の正体は、ケシ科の「アツミゲシ」だと判明。数十年前に海外から持ち込まれた外来種。1964年に初めて愛知県の渥美半島で大量発生していることが分かり、「アツミ」と名付けられた。花が生きていくための防御反応として、アルカロイドと呼ばれる成分を作っており「人に麻薬と同じ作用をもたらす成分ですね」と説明する。
厚生労働省の「大麻・けしの見分け方」には、花びらは4枚、開花期の草丈は50~100センチ。葉は互い違いに茎に付き、上部に葉柄はなく、根本は茎を巻くように葉が生えていると書かれている。
高野さんによると、アツミゲシは繁殖力が高く、小さな種を作っては広がり、1本でも根付くとすぐに自生するという。全国各地の公園や歩道などで見られるというが、本来は法令違反の植物。「道で見つけたら県や最寄りの保健所、警察署に連絡してほしい」と話した。
(まいどなニュース・山脇 未菜美)