以前の飼い主は首輪を換えなかった 食い込んだ跡には今も毛が生えないシニア犬 心臓病を抱えても散歩を楽しむ日々
犬の「殺処分ゼロ」を目指し、犬の保護及び譲渡活動を行うピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。現在、同団体には「タピオカ」と呼ばれる推定13歳のおばあちゃんワンコがいます。病を抱えながら今日も懸命に生きています。
■保護時、首に食い込むほどの小さな首輪をしていた
2017年7月に広島県内の動物愛護センターに収容され、同団体に引き出されました。
保護当時は、首輪をしていたため、元飼い犬だったことが想像できました。しかし、その首輪は幼いころからずっと着けていたものなのか、首に食い込んでしまっていました。現在も着けていた部分には毛が生えてきません。
それでもタピオカの性格は明るく、キュンキュンと鳴き、気持ちを伝えようとしてくれます。ほかのワンコも大好きで、攻撃をしかけることはもちろんありません。相手の匂いを嗅ぎすぎることで、嫌がれることはありましたが、それはふれあいやコミュニケーションが大好きであることの現れでした。
■高齢化が進み発症した心臓病
同団体が引き上げてから翌年の2018年、タピオカは心臓病を発症しました。利尿剤など、身体の中に水が溜まらないようにする薬を、起きてすぐにスタッフに飲ませてもらうようになりました。さらに、2022年からは加齢の症状が目立つように。自分のお部屋で寝ていることもありますが、ドッグランに出てもずっと歩き続けることが多くなりました。
それでもスタッフのことが大好きなことだけは変わらないタピオカ。スタッフから声をかけられると、たとえドッグランで楽しそうに走っていたときでも、その声に反応し、うれしそうにトコトコと近づいてきます。
高齢であることから、お散歩の最初のほうはゆっくり歩きますが、徐々にノッてくると、歩くペースが上がります。タピオカが「ピョコピョコ」と耳を動かしながら歩く姿はとってもチャーミングです。
■心臓病の平均寿命を乗り越えて今日を生きる
同団体では、殺処分寸前の多くのワンコを引き上げ、適切な処置やトレーニングをした後、新しい里親さんに譲渡することを目指しています。しかし、タピオカのように持病があったり、高齢だったりするワンコは現実的に譲渡が難しい場合もあります。
こういったワンコは、同団体施設で他のワンコたちと一緒に暮らしてもらい、最後までお世話し続けています。
タピオカのお世話をしているスタッフは語ります。
「犬が心臓病になると寿命が3年ほどと言われます。だから、いかに健康でいられる時間を長くしてあげられるかを考えてお世話をしています。タピオカは2018年に心臓病を発症したので、もう5年になります。状態はあまり良くなく、いつ何があってもおかしくないです。タピオカは本当によく頑張ってくれています。こんなに平気でトコトコ歩いてくれているのも、本当に凄いなと思っています。いつまでも元気でいて欲しいですね」
(まいどなニュース特約・松田 義人)