心臓に持病の保護犬を救った全国からの支援 施設を卒業する日、持ち前の明るさでみんなを笑顔に

犬の保護及び譲渡活動を行う団体ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。同団体では、定期的に動物愛護センターから殺処分寸前のワンコを引き出していますが、2015年12月、その年最後の引き出しに向かいました。そのときに引き出したのが、推定生後約4カ月の子犬、モーリーでした。

■支援者からのサポートで手術を受けることができた

保護当初から天真爛漫で明るいワンコで、ボール遊びが大好きでした。ボールを口に咥えては「一緒に遊ばない?」とスタッフを誘い、スタッフも手を止めては一緒に遊んで過ごしていました。

その一方、モーリーには幼犬の頃から持病がありました。唾液腺疾患や心臓に病気があったのです。持病があることから、ピースワンコでは、まず体を最優先にお世話をすることにしました。

同団体には、「ワンだふるファミリー」という制度があります。これは同団体が保護したワンコのうち、持病や障がいがあったり、シニア犬でケアが必要なワンコたちに対し、全国の支援者が「ファミリー」となり寄付金などの支援サポートするものです。モーリーもまた、この「ワンだふるファミリー」の制度をもって、前述の手術を受けることができました。

■良い縁に恵まれなかったモーリー

モーリーの手術直後のことを、スタッフはこう振り返ります。

「多くのワンコは手術などをした後、元気がなくなるものですが、モーリーの場合は『本当に術後なのか』と思うくらい、元気にお散歩をし、そして甘えん坊さんぶりを発揮していました」

持病を抱えながらも、いつも明るく元気なモーリー。しかし、新しい里親さんとの縁はなかなか結びつきませんでした。

結果、モーリーが同団体で暮らし始めて6年もの月日が流れました。この間、モーリーは、たくさんの仲間のワンコたちが、新しい里親さんと出会い、卒業していく姿を見届けるだけでした。

■「この人なら大丈夫」と安心した表情を見せてくれた

しかし、やっとモーリーを「迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。その里親希望者さんは「保護犬を迎え入れるのは初めて」と言う一方、その家には先住犬がおり、てんかんを患っていた経験があるそうです。

そして、モーリーとの絆を深めるために、何度もピースワンコの譲渡施設に会いに来てくれ、そして、お散歩トレーニングなどをしてくれました。最初のころ、モーリーは「知らない人とのお散歩はちょっと…」と緊張気味でしたが、いつのまにか普段と変わらないお散歩ができるようになりました。里親希望者さんのモーリーへの思いが伝わり、「この人なら大丈夫」と、安心したのだと思います。

長い時間を同団体で過ごしたモーリーでしたが、この里親希望者さんに迎え入れられることとなり、ついに幸せをつかむことができました。スタッフは「この方とつながるために、モーリーは長い時間待ち続けていたんだな」とも思いました。

■スタッフに挨拶をし、自分から里親さんの車に飛び乗った

モーリーがピースワンコを卒業する日、スタッフたちとの別れを悟ったのか、モーリーはスタッフひとりひとりのもとへやってきました。そして、最後は自分から新しい里親さんの車に飛び乗りました。持ち前の明るく元気で前向きなところを、卒業の場でも見せてくれたのです。

モーリーは現在も、里親さんのもとで、先住犬と一緒に幸せな時間を過ごしています。モーリーのように持病のあるワンコでも、そして、なかなか良い縁がないワンコでも「新しい里親さんとのマッチング」につなげられるよう、今後も最大限の努力をしていきたいとあらためてスタッフは思いました。 

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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