気付かれず閉店後の薬局に閉じ込められていた子猫を保護 しかし先住猫との相性が最悪…「穏やかに暮らせない家に迎えてごめん」と悩む日々

■店に閉じ込められた子猫

むぎちゃん(5歳・メス)は、2017年4月16日、商店街にいたところを保護された。

大阪府に住む石田さんは、「どこからか子猫の鳴き声が聞こえるなぁ」と思って探していた。

「薬局の中に開店時に入ってそのまま気付かれず、閉店後にシャッターが下ろされて閉じ込められたようでした。鳴き声に気付いて心配して足を止めた人たちと一緒に、どうにか助けられないかと試行錯誤していたところ、幸い古めのシャッターだったので少しだけ開けられて、隙間ができました。そこからちゅーるをあげたら、お腹が減っていたのか夢中で食べ始めて。その隙に捕まえて助けることができました」

一緒に助けた人が「飼えるかも」と言ってくれたので石田さんは悩んだが、最終的には自分が保護することにした。生後1カ月ほど、体重は600gくらいだった。

■あずきちゃんvsむぎちゃん

先住猫がいるので別室で飼い始めた。むぎちゃんは、怒ることも怖がることもなく、すぐに遊んで堂々としていた。ただ、先住猫のあずきちゃんとの相性は最悪で、石田さんはノイローゼになりそうなほど悩んだという。

「最初からあずきはむぎのことを気に入らなかったようで、ずっと怒っていました。むぎはあまり物怖じしない子だったので、誰にでもちょっかいを出して遊んでもらおうとしました。あずきが怒っても積極的に向かっていったので、そんな態度が余計に嫌だったのかもしれません」

次第にあずきちゃんがむぎちゃんを攻撃するようになって、その攻撃も強くなる一方。人が寝静まった真夜中に、襲われたむぎの悲鳴で飛び起きる日々が続いた。

「部屋を分けることも考えましたが、それができるほど広い家ではなかったし、一生そのまま別々に過ごすのはどうなのかと悩みました。むぎは根っからの自由奔放でくじけない性格ですが、だんだんあずきを避けるようになりました。でも、攻撃されても隠れないで他の猫と遊んだり、人間の膝に乗ったり安全な場所を自分なりに見つけました」

石田さんは何度かあずきちゃんに怒ったが、その後は攻撃がひどくなった。

「むぎを普通に過ごせない我が家に迎えてしまったのが申し訳なくて、本当に悩みました。里親さんを探すしかないかと思うこともありましたが、それはやはり嫌だったので、なんとか少しでも関係が改善することを願って過ごすしかありませんでした」

石田さんは、なるべくあずきちゃんをケアするように心掛け、さりげなく存在を感じさせないように移動させたりした。

「些細なことしかできませんでしたが、最終的には猫達次第だと思っていたので、少しでもお互いが落ち着ける環境になるように努めました。少しずつ少しずつ関係が落ち着いてきて、今では一緒に並んで寝ていたり、追いかけっこをしたりしています。完璧ではなくても、これだけ穏やかな関係を築いてくれて本当に嬉しく思っています。猫たちは何よりも大切な存在。そして私を幸せにしてくれる存在です」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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