仕事掛け持ちで平均月収3万円、保育園1人あたり月2万円…ベトナムの過酷な労働事情が話題に
ベトナムの過酷な労働事情がSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのはライターのりのこさん(@ring6565)による
「今ベトナムにいるんですが、ガイドさんから『ベトナムは平均月収3万円だけど、それじゃ生活できないから皆仕事掛け持ちしてる。私もガイド以外の仕事してる。ご飯作る暇ないから基本出前。どの家も子沢山だけど保育園1人あたり月2万で値上げが激しい。休む暇ない』と聞いた。専業主婦という概念はない」という投稿。
ベトナム統計総局が公開したデータによると、2020年のベトナム人1人当たりの月間平均所得は423万ドンで、その後も急激に上昇中。ここ数年のレートでは1円200ドン前後なので、ざっくり「平均月収3万円」というガイドの言葉はほぼほぼ正確な認識と言える。
りのこさんはガイドの言葉を聞き「日本の働き方の方がむしろホワイトではないか」と思ったそうだが、たしかに平均月収3万円なのに1カ月当たりの保育料が1人2万円とは大きな負担だ。近年、来日するベトナム人労働者が急増しているが、背景にはそういった過酷な労働事情が関係しているのだろうか。
りのこさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「私も去年ベトナムに行きました。車は買えないから基本はバイク。共働きが普通だそうですね」
「東南アジアはどこでも似たようなもんですよ。バイタリティで乗り越えて居るのが現実。」
「昔の日本人はほとんどが百姓なので、妻も農業に従事しているので専業主婦と言う概念はない 昔の江戸の町人は女も手に職があるので専業主婦と言う概念はない 専業主婦は明治以降の短い時代に生まれた概念だと思います」
「近い未来日本もそうなりそ」
など数々の驚きの声が寄せられている。
■投稿者さんに聞いた
りのこさんに話を聞いた。
ーーベトナムの労働事情を聞いた感想をあらためて聞かせてください。
りのこ:ベトナムはアメリカに勝った戦勝国で資源があり、食料自給率も高く、少子化知らずという日本が喉から手が出るほど欲しいモノが揃っている国なんですが、それでも、ここまで国民がブラック労働をしないと生活していけないのか…と驚きました。南国は働かない人が多いと言いますが、夜中までせっせと働いている人をたくさん見ました。
ーー日本とベトナムなど東南アジア諸国の労働事情を比較していかがでしょうか。
りのこ:ベトナム都市部の日系企業や大企業に勤める人は、東京のサラリーマンとあまり変わらない給料を貰っているらしいのですが、実際にホーチミンを歩いてみると、貧富の差がかなり激しいことがわかりました。子供の物乞いもいましたし、街中では貧しい人が貧しい人向けに屋台を開いているのを見かけました。調べたところ、都市部のコンビニの店員さんの時給は130円程度だそうです。地方都市や田舎だとそれ以下です。
ーーコンビニ店員の時給から見えてくることもありますね。
りのこ:同じく発展を続ける、タイ・バンコクではコンビニ店員の時給は230円程度だそうです。ベトナムよりはちょっと高いですが、タイは場所によっては物価が日本とあまり変わりません。最低賃金1072円の東京に出稼ぎに来る外国人が多いのも納得です…。ちなみにアメリカ・ニューヨークのコンビニバイトは時給2000円程度のようです。
ーー投稿の反響への感想を。
りのこ:「男が働かないのでは?」「お金がないのになぜ子供を産むのか?」「東南アジアは共働きが普通」という意見が多かったです。実際、ベトナムに行ってみたら、働いている男性は多く見かけました。家で寝ている人もいるかもしれませんが…。子だくさんなのは、どこの家も兄弟がたくさんいるのが当たり前だからじゃないかなと。日本も不景気が続いているので、近年は共働きが主流になりつつありますよね。また、「さすがに月収3万円は話盛りすぎ。自分の知り合いのベトナム人は現地で月収16万円だ」と話す人もいました。日系企業やIT企業に勤める人は平均よりも高い給料を貰っているようです。
◇ ◇
「00の労働環境は日本より恵まれている」とはよく言われるが、欧米にせよその他の地域にせよ、実際は日本と同等かよりハードモードであることが多いようだ。しかし近年の政治や経済の情勢を鑑みると、日本が他国より経済的優位を保てる保障はまったくない。日本人は、快適な労働環境を求めつつも、いかに現在の生活水準を維持するかも考えなければならない段階に来ているのかもしれない。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)