“うな丼大臣”は知ってる? うな丼とうな重の誕生秘話 ウーバーイーツの元祖が育んだウナギ文化
「うな丼はしっかり食べさせていただきました」。岸田文雄首相が襲撃されたという報告を受けた後も、視察先の高知県で地元の名物を平らげたとあいさつして批判を浴びた自民党衆議院議員の谷公一国家公安委員長(兵庫5区)。警察庁を管理する組織のトップとして「緊張感がない」と批判されるニュースを横目にふと思った。うな丼ってうな重と違うの?
■一番の違いは器 どんぶりか重箱
冷凍うなぎかば焼きの輸入などを手がける「BGI JAPAN」(東京)の情報発信サイト「うなぎSTYLE(スタイル)」の中西純一編集長に聞きました。
中西さんによると2つの一番の違いは、器。どんぶりに盛り付ければうな丼で、重箱に入れるとうな重になる。うな重の方が高価なイメージがあるが、一般的には重箱の方がより大きいかば焼きが入るため、価格も高めに設定されている。店舗によっては上質なうなぎをうな重に使うこともあるという。
■うな丼はどんぶりの元祖、天丼説覆す
先に誕生したのはうな丼で、200年ほど前の江戸時代にさかのぼる。そして「うな丼はご飯におかずを載せて提供するという、どんぶりスタイルの元祖」と中西さん。従来は天丼が元祖と考えられていたが、食文化史研究家の飯野亮一さんが最近、史料を示しながらその通説を覆したという。
ご飯とかば焼きは別々で提供されていたが1804~18年、芝居小屋の関係者が、焼いたうなぎが冷めないようにご飯の間に挟んだ状態でデリバリーを注文。その方法を見た人が、うなぎをご飯に挟んだ「うなぎ飯」として売り出したところ評判になり、広まったという。
■割れにくく運びやすいおせち用の重箱が台頭
一方、うな重が生まれたのは江戸末期。中西さんは「割れてしまうどんぶりに比べ、重ねることができてデリバリーに適していたおせち用の重箱が使われ出したようです」と解説する。「うな丼大臣」と野党から命名されてしまった谷氏の発言。奇しくも、これを機会にうなぎのなが~~~い歴史に触れることになりました。