スマホのメモアプリに書いた「私、耳が聞こえないので」 画面を見た美容師さんが取った予想外の応対 「この手があったか」「柔軟な対応」
生まれつき耳が聞こえない「まみねこ(耳をお空に置いてきた)」さんが美容院で体験した出来事が、SNS上で大きな話題になっています。
「初めて行く美容室で『私耳が聞こえないので、私からはスマホで文字打ちして見せます』と書いて見せたら、その続きを打つ前に向こうがスマホのメモアプリ開いてマイクをONにして『僕からはこうやって声を文字にして見せれば良いのですね?』と話しかけてきたからびっくりした。嬉しい」(まみねこさんツイッター @catfoodmami から引用)
ユーザーからは「やさしい美容師さん」「柔軟な対応」「この手があったか」「覚えておこう」「音声入力忘れがちだった」「高齢の親とこれでやりとりしてます」「手話ができなくてもスマホでコミュニケーションができる」「勉強になった」などの反応が寄せられています。
■ヘアスタイルの希望を「細かく伝えることができました」
まみねこさんに話を聞きました。
──美容師さんは自身のスマホを出し、音声入力で素早く入力し、コミュニケーションしてくれたんですね。
「はい。音声入力で伝えてくれたおかげで、美容師さんが何を言いたいのか把握できました。私から何も説明してないのにご自分からされたので『知ってたんだ!』という驚きとうれしさがありました。本当にありがたかったです」
──施術中はどんなやりとりを。
「『どんなふうに切って欲しいですか』と聞かれ、私からはカタログの写真を見せながら、スマホのメモアプリに『前髪はこんな感じにしてください』『後ろの髪の毛は丸くなるように切ってください』など細かく伝えることができました」
──他の店では。
「これまでは筆談が多かったです。紙に書くのが大変だったのか、いろいろとはしょって短く書かれてしまい、うまく伝わらなかったこともありました。勤務中にスマホを持つことが禁止されているお店もあるかと思いますが、店内に接客用のスマホが1台でもあれば、美容師さんの筆談の負担も減るのかなと思いました」
──今回、あらためて気付いたことは。
「ある方の引用リツイートに『テクノロジーは使う人の心次第』という言葉がありました。テクノロジーの発達はコミュニケーションの補助になることがあり、それはすごく助かるのですが、最大の壁は人の心です。テクノロジーがどれだけ発達しても、使う人の心によってはそれが生かされないこともあります。逆に今回みたいに最大限に生きることもあるということをあらためて考えさせられました」
「私も職場などでは周囲の方々が音声認識アプリやメモアプリのマイクを通して音声入力で話しかけてくださり、私からはメモアプリに文字を打って見せたりなどの方法で会話することができています。職場の皆さんが私に対して、話そう、関わろうという気持ちを持ってくださっているからだと思っています。これもテクノロジーと人の心がうまく噛み合った例だと思っています」
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まみねこさんの投稿には、1日で5万を超える「いいね」が集まっています。反響の大きさに対し、まみねこさんは「皆さんがいつかどこかで聞こえない人や聞こえにくい人と出会ったときは、音声入力や手話、身振りなど、あらゆるコミュニケーションを介して、人と人とのあたたかい繋がりを増やしていってもらえるといいなと思っています」と心境を明かしてくれました。
(まいどなニュース・金井 かおる)