「排泄物で部屋が汚れるから」 屋外飼育、放棄されたトイ・プードルの保護犬 左右の膝蓋骨脱臼だった
2022年冬、元飼い主に飼育放棄された1頭のトイ・プードルがいました。マネちゃんという推定3歳のメスのワンコです。
元飼い主の仕事環境の変化により経済状況が悪化し、さらにマネちゃんの世話をすることできず、「排泄物で部屋が汚れるから」という理由で屋外に出され、最終的に飼育放棄にたどり着いたといいます。
■ネグレクトで放り出された後、発覚したパテラ
ネグレクトによって放り出されることになったマネちゃんですが、これを知った保護犬団体、一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)が保護することになりました。
スタッフが初めて接したときから人懐っこいワンコで、そして遊ぶこと、甘えることが大好きなことがよくわかりました。体をなでてほしいのか、初対面にしてスタッフのそばに寄ってきて、ひざにスリスリしながらかわいく甘えてきました。
SORAでは保護した後、まず病気がないかなどを確認するため獣医師にマネちゃんを診てもらうことにしました。
すると、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)を引き起こしており、すぐにでも手術が必要な状態でした。膝蓋骨脱臼は先天性のものと、生活環境による後天性のものがありますが、ミニチュア・ダックスフンドやポメラニアン、トイ・プードルなど小型犬に比較的多い症状と言われています。膝蓋骨が正常な位置から外れてしまっている状態を指し、日本では略称として「パテラ」と呼ぶことが一般的です。
結果、マネちゃんはすぐに入院し手術を受けることになりました。左右の膝蓋骨脱臼の復術と合わせて、避妊手術も行うことにしました。その入院期間は約1カ月に及びました。
■約1カ月の入院・手術が無事成功
入院中は心身とも辛い思いをしたであろうマネちゃんでしたが、それでも小さな体でがんばり抜き、ときには素敵な表情を見せてくれることもありました。
結果、無事に手術を終え退院することができ、術後の経過も良好でした。「これもマネちゃんちゃんが小さな体でがんばったからだ」とスタッフはおおいにマネちゃんを励ましました。同時にスタッフは、念には念をで、マネちゃんの体に負担をかけないよう、細心の注意をはらいながらケアをすることにしました。
■術後も献身的なケアを行い、里親希望者さんを待つ日々
早く散歩に連れていってあげたいところですが、まずは家の中で無理なく歩き、筋力を付けることからトレーニングを開始しました。フローリングで滑らないよう、室内はカーペットを敷くなどの工夫が求められます。
また、マネちゃんは元気いっぱいに動きたがる傾向があるため、興奮させて飛び跳ねたりしないよう配慮も行いました。同時に、マネちゃんがストレスを抱えることがないよう、できるだけ体を動かさずに、楽しく遊べる方法を考えながら、マネちゃんのお世話をし続けています。
また、マネちゃんは屋外で飼われていた経緯もあり、トイレシートの認識がなく、トイレトレーニングが必要です。
スタッフはこういった、あらゆる角度からのケアをしながら、マネちゃんを幸せな第2の犬生へと導いてくれる新しい里親さんとの出会いを待ち望んでいます。これまでの境遇や体調のことなど、マネちゃんの全てを受け入れて、新しい家族となってくれる里親希望者さんが見つかることを願うばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)