どうやって生きてきたの? 知らない人や物音が苦手なチワワ 心の氷を溶かしたのは預かりボランティアでした
愛知県を拠点に、東海エリア全般で犬の保護活動を行う団体、一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)。同団体が2017年に動物愛護センターから引き出した推定7歳のチワワの小さなワンコがいました。その名はチーズくん。
迷い犬としてセンターに収容されたこと以外、どんなバックボーンを持っているかはわかりませんが、とにかく人間に怯え、すぐに固まってしまうワンコでした。
■知らない人や音が苦手で、ガチガチに固まっていたチーズくん
チーズくんはセンターの収容期限が切れたところをSORAが引き出すことにしました。スタッフはチーズくんを保護後、メディカルチェックのために獣医師に一度診てもらい、その後、団体に登録している預かりボランティアさんの家でお世話してもらうことにしました。
この間も、チーズくんはことあるごとに固まってしまい、散歩に連れていってもまたガチガチに固まっていました。どうも知らない人間や音が怖いようでした。
しかし、これまでに何頭もの保護犬の心を開いてきた預かりボランティアさんは動じません。そんなチーズくんを前に「大丈夫だよ。少しずつ馴れていこうね」と優しい言葉をかけ、献身的に接し続けました。
■心を開き、得意のミーアキャットポーズを見せるように
すると、わずか一週間ほどでチーズくんは預かりボランティアさんに心を開くようになりました。それまでのガチガチの態度からいっぺん、今度は急に甘えん坊の片鱗を見せ始め、預かりボランティアさんいすり寄ってきては「なでて!」「抱っこして!」と強くアピールするようになりました。
また、預かりボランティアさんと一緒なら散歩にも安心して出かけられるようになり、尻尾をフリフリさせながら嬉しそうに歩く姿を見せてくれました。ときには散歩できることがうれし過ぎるがあまり、地面に体を擦り付けて、砂だらけになってしまうこともありましたが、これはご愛嬌。何よりチーズくんが心を開いてくれたこと、信頼してくれたことをうれしく思う預かりボランティアさんでした。
少しずつ本来のチーズくんの言動が見えてきたわけですが、不思議な動作をすることもわかりました。それはご飯前のこと。どういうわけかチーズくんは後ろ足二足で立ち、ミーアキャット状態でご飯を待ち続けるのです。
少しでも背伸びしてご飯の様子を知りたいのか、それとも「早くちょうだいよ」とアピールしているのか、チーズくんの真意はわかりませんが、そんな姿も超かわいいチーズくんなのでした。
■ビビっていたのに、気づけばまたミーアキャットポーズ…
保護から数ヶ月、ようやくチーズくんの里親希望者さんが現れました。先住犬として元保護犬の柴犬を飼っている優しそうな夫婦です。
すぐにトライアルを実施し、試しに一度チーズくんをこの家庭に預けてみることにしました。
先住犬の柴犬はとてもフレンドリーで、チーズくんはやってくると、「友達が来た!」と言わんばかりに大喜び。すぐにチーズくんにあいさつしてくれました。一方のチーズくんはここでもまた「そんな急に近寄られるのはちょっと……」と固まっていたようですが、数日経過した頃、ふと気づくと「おやつ、ちょうだい」のミーヤキャット状態に……。
■幸せな第2の犬生を掴んだチーズくん
果たして、チーズくんはこの優しい夫婦の家庭に迎え入れられ、先住犬と一緒に第2の幸せな犬生をおくることになりました。
良い縁に結ばれたことを、SORAのスタッフは本当に嬉しく思いました。迷い犬として保護され、小さな体で不安と戦いながら生き抜いてきたチーズくん。確かに遠回りはしましたが、ようやく幸せな犬生をつかみとったということです。
同時にスタッフは、この好例を胸に、さらに1頭でも多くの身寄りのないワンコたちを救い、そして幸せな犬生へとつなげていきたいという思いを新たにしました。
一般社団法人SORA小さな命を救う会
https://sora-chiisana.org/
(まいどなニュース特約・松田 義人)