繁殖業者から引き出されたシーズー犬 保護時の車内で眠ってしまうのんびり屋さん 周囲を笑顔に変えてしまう天性のアイドルに
2023年3月、保護団体がとある繁殖業者から引き出した1頭のワンコがいました。シーズーの推定5歳のメスのワンコです。その名はシズ。人間の都合で、子犬をひたすら産まされるという劣悪な環境から救い出されたシズは、この保護団体と交流があった福岡県のボランティア保護チーム、わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)に引き取られることになりました。
■中型犬と見間違えるほど大きなシズ
シズの体格は一般的なシーズー犬と比べてかなり大きく、体重が10キロもありました。中型犬と見違えそうになりますが、性格はとても穏やかで順応性が高く、そしておっとりとした性格です。はぴねすのスタッフが保護した際、その車の中でも警戒心ゼロで寝てしまうほどのノンビリさんです。
まずスタッフはシズの毛を整えてもらおうと知り合いのトリマーさんにトリミングをお願いしました。ここでも初めて人から、体のあちこちを触られ、毛をカットされてもシズは抵抗もせず怒りもしません。そればかりか甘えん坊っぷりを発揮し、抱き上げるとピタッと人にくっついてきます。シズはすごく性格の良いワンコだとスタッフは確信しました。
■「なんで私だけひとりぼっちなの?」
トリミングを終えた後、はぴねすの預かりスタッフさんの自宅に預けられることになりました。この家には、他にも保護犬がいますが、喧嘩などを起こさないよう、念のためシズをサークルで隔離しました。
するとシズはここで初めて唸りました。「なんで私だけひとりぼっちなの? ここから出しよ」と言わんばかりに吠え続けます。先住犬たちはそんなシズの元気な様子を前に「おやおや、随分元気なワンコが来たな」と興味津々の様子。試しにシズをサークルから出すと、他のワンコとすぐにコミュニケーションをとり、一瞬で打ち解けました。
また、預かりスタッフさんのベッドに自ら上がって、そこを占拠して起こされるまでずっと寝てしまう始末。どうもシズは体だけでなく、その神経も良い意味でめいっぱい大きいワンコのようです。
■いたって健康体で避妊手術後も元気いっぱい
後日預かりスタッフさんは、シズを避妊手術を施すため、動物病院に連れていきました。手術前に、シズの健康面での検査も行いましたが、ドライアイの左目に頻繁に目ヤニが出ている程度で、他は大きな異常はなくいたって健康とのこと。そのままシズの手術をお願いし、経過観察のために1日入院させることにしました。
翌日迎えに行くと、たった1日の入院にしてシズは人気者になっていました。人間の赤ちゃんのように看護師さんに抱き上げられ、シズもうれしそうな様子。看護師さんは「かわいくてかわいくて、離したくない」と言っていました。
預かりスタッフさんは動物病院の皆さんにお礼を言い、連れて帰るためにシズを自身の自動車の助手席に乗せました。すると今度は、預かりスタッフさんの手をペロペロと舐め、頭をすり寄せて甘えてきます。「もう八方美人だなぁ」と笑う預かりスタッフさんでしたが、家に戻ったら術後間もないというのに大はしゃぎ。他のワンコたちとすぐにじゃれあう元気っぷりを見せてくれました。
■シズの里親希望者さんが現れた!
元繁殖犬という辛い過去があるのに、性格良好、元気いっぱいのシズでしたが、つい先日、早く里親希望者さんが現れました。その人は以前にも悪徳繁殖業者から保護されたシーズー犬を家族として迎えいれた経験があるとのこと。遠方に住んでいるため、すぐ面談・譲渡というわけにはいきませんが、今後もしかしたら良い縁として結ばれるかもしれません。明るく元気いっぱいのシズが、幸せな第2の犬生の一歩を踏み出す日はそう遠くなさそうです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)