黒い袋に入れられ、高架下に捨てられていた兄弟猫 亡くなった今も保護主の胸に生きる

■黒いビニール袋に入れて捨てられた兄弟

ちゃたろうくん(享年13歳・オス)とこたろうくん(享年19歳・オス)は、2002年1月14日に保護された。

連休の日の昼前、翌日は雪が降ると言われていた寒い日のことだった。大阪府に住むOさんは、お隣さんから「助けて」と連絡を受けた。

「前の文化住宅に住んでる人が、引越しするのに可愛がってる猫だけ連れていって、あとは置いていく言うてるみたい。その人が黒い大きなゴミ袋を高架下の深い溝に捨てたようやから、一緒に来てほしい」

OさんとOさんの父親、そして隣人で探したところ、大きな黒いゴミ袋を発見。はしごをかけ、下までおりて拾い上げた。固く縛られていた袋の口を開けると、中には大量のカリカリごはんに埋もれた子猫が2匹いたという。

「鳴くことも動くこともなく、みんなで『あかんか…』と話していたら、わずかに動いたんです!」

隣人は猫を5匹飼っているのでこれ以上は無理だという。

ひとまずOさんが預かり、里親を探そうということになったので、連れて帰ったそうだ。子猫たちが寒そうにしていたのを見て、父親は「早くペコのお腹へ放りこめー」と言った。ペコちゃんは、ハスキー犬の血が入ったMIX犬だ。

「ペコも女の子やったからか、自分の子どものようにじーっとしていました」

■仲良し兄弟

2匹は生後3日目くらいで目も開いておらず、耳もまだ頭にぺたんとひっついてるような状態。Oさんは、本当に育てられるのか不安だった。2時間おきにミルクを与え、排泄の世話をした。

「この頃、友人などから、2匹を引き取りたいと連絡があったけど、目も開いて、仲良くプロレスごっこする兄弟の姿を見たら手放すことができなくて断りました。引き取りたいと言ってくださった方には、里親さんを探している人を紹介しました」

名前は、Oさんのお父さんが「白猫は『こたろう』。漢字で書いたら『虎太郎』がカッコええんちゃうか!」となり、阪神ファンなのもあって決定。兄の茶白の名前がなかなか決まらなかったが、毛色が茶色なので「ちゃたろう」という名前になった。

2匹はお布団の中で年がら年中一緒に寝ていた。こたろうくんは、兄のちゃたろうくんの後ろをいつもくっついて歩き、ちゃたろうくんがベランダの扉を開けると、棚ぼた方式で一緒にベランダに出ることも。ちゃたろうくんはお利口で大人しく、おっとり優しいところはこたろうくんと似ていた。

「甘えん坊のこたろうが私に甘えているのを、『僕も甘えたい』という顔をして後ろから見ていることもありました。でも、譲ってあげる兄らしいところもありました」

2011年6月にご主人が3匹目の猫、金太郎くんを保護して、「ちゃたこたきん」で仲良く過ごしていた。しかし2015年3月、ちゃたろうくんが突然死した。

「私が仕事から帰宅すると冷たくなっていました。こたろうと金太郎だけになりました。2018年3月にはこたろうが吐血し、病院に連れていくと腎不全と診断されました。その後、膵炎、甲状腺の病気も発覚し、3年闘病して19歳でこたろうは空に旅立ちました」

今もOさんの心の中にはちゃたろうくんとこたろうくんが生き続けている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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