女子会、サウナ、子連れ無料!? ラブホの用途がいつの間にかめちゃくちゃ多様化している なんでこうなった?関係者に聞いてみた
サウナ、コスプレ、露天風呂、女子会、夜景、バリアフリー…。
ラブホテル(ラブホ)の情報サイトで列挙されている用途の一例です。カップルの愛の営みに使われる場所として生まれたラブホですが、その使われ方が多様化し、近年はまるでアミューズメント施設のように。中にはボルダリングやダーツなどを備えたところもあるといいます。後輩の女性(20代)に聞いてみると、「私も学生時代にラブホで女子会したことがあります」とのこと。ラブホの関係者や情報サイトの担当者に取材しました。
■ラブホ経営者「暗いイメージが変わりつつある」
取材に応じてくれたのは、ビジネスパックや女子会、ファミリー利用など、多彩な打ち出しで存在感を放つ神戸のホテル「ポルト・ディ・マーレ」の男性経営者です。
-なぜこのような売り出し方を?
「もともとはインバウンド需要を見込んで、15時にチェックインできるホテルとしてサイトに掲載したのですが、予約の外国人客が夜遅くまで来なかったりドタキャンされたりして、部屋が回らないことが度々ありました。そのうちインバウンドが頭打ちになり、ならば、と企画したのが『子連れ無料』です。神戸は観光地ですし、大阪のUSJも高速道路を使えば比較的行きやすいということで、需要があると見込みました」
「女子会プランを始めたのは5年ほど前だったと思います。最初は月2、3件でしたが、次第に『何人まで入れますか』といった問い合わせも増え、以前とは違う層に受けている手応えを感じているところです。ちょっと薄暗く、どんよりしていたラブホのイメージも、女子会などを通じて最近は明るいものに変わってきたような気がします」
-女子会プランについてもう少し詳しく教えてください。
「週末を中心に、大学生など若い子の利用が多い印象です。さすがにそこまで大人数は入れませんが、雑談やカラオケ、コスプレを楽しんでくださっていますよ。ネット検索でもヒットするようになり、なかなか好調です。インバウンド需要を見込んで予約システムを導入していたのも良かったかもしれません」
-コロナ禍の影響はいかがでしょう。
「2020年3月、4月は利用が普段の60%くらいまで落ち込みましたが、8月には90%まで回復しました。今はまあ平年並み、といったところです」
■情報サイト「今後もこのトレンド続く」
こうしたトレンドは、ラブホの情報サイトでも垣間見ることができます。例えば2001年にスタートし、月間のアクセス数が1550万に上る日本最大級のラブホ情報サイト「カップルズ」。サイト内の「テーマ別」という項目を選ぶと、冒頭のような特徴を備えたラブホを検索したり、予約したりできるようになっています。
サイトを運営するGNU(本社・東京)の担当者に取材しました。
-「テーマ別」の項目は、いつ頃からありますか?
「正確には確認できませんが、かなり昔からあるコンテンツです。遅くとも、2014年秋頃にはすでにありましたので、用途多様化の動きはもっと以前からだと思われます」
-どの項目も興味深いですが、「家族向け」が気になります。
「ファミリー利用は、特にテーマパークに近い地域で需要があるようです。一般的なビジネスホテル(ビジホ)より広いお風呂や広いベッド、豊富なアメニティグッズが支持されていると見られます。また最近は一般的なホテルの宿泊費が高騰しているため、比較的安く泊まれるラブホで節約し、テーマパークにお金を回すという人もいるようです」
-ビジネス利用も増えていると聞きました。
「そうですね。出張の滞在先としてラブホを選ぶ人は増えています。理由としては、先ほども申し上げた宿泊費高騰、またベッドや浴室の大きさなど総合的な設備面の充実が挙げられると思います。ラブホは基本的に防音がしっかりしていますし、大画面テレビを売りにしているところも多く、そこが人気なのかもしれません」
-他に、どんなトレンドがありますか。
「コロナ禍が長引き、シティホテルなどの他の宿泊形態が積極的にカップル需要の取り組みに注力しています。そうした背景もあって、ラブホも顧客獲得のためにWEBでの予約システムが必要不可欠になってきました。コロナ禍で外出制限があった時期は、用途の多様化が功を奏した側面もあります。サウナや女子会、推し会など、今後もそういう使われ方は広まっていくのではないでしょうか」
(まいどなニュース・黒川 裕生)