【復活へ】コロナ禍で大打撃をうけた腹話術業界 全日本あすなろ腹話術協会・福小介さんに聞いた
5月20日、神戸市須磨区の大黒地域福祉センターで「あすなろ本部教室 腹話術発表会」が開催された。
あすなろ本部教室で腹話術を学ぶ生徒たちが日ごろの研鑽の成果を発表する定例イベントだが、近年のコロナ禍により開催は実に3年以上ぶり。大勢の観客が会場を埋める中、オーソドックスなものからスナックトーク、夫婦漫談、歌に至るまで生徒たちによる力一杯の、創意工夫をこらした腹話術が披露された。
約10組の出演者のトリを務めたのは全日本あすなろ腹話術協会本部会長の福小介さん。
会場狭しと駆け回って場を盛り上げるエンターテイナーぶりと複数の人形を同時にあやつる一人四芸の至芸。観客の反響もこれまでに増して大きく、盛大な拍手でイベントは締めくくられた。
今回のイベントについて福小介さんに話を聞いた。
ーー発表会をやり終えた今の感想を。
小介:コロナ禍の間は腹話術師にとっては受難の時期でした。こうやって集まること自体が難しいですし、集まってもマスクをしていては腹話術になりません。僕自身も演者としてお仕事の機会がなく大変でしたが、教室に通ってくれる生徒のみなさんにとっても非常にフラストレーションのたまる時間だったと思います。5月8日から新型コロナウイルスが「5類感染症」に引き下げられたことで、ようやく発表会を開催できました。大勢のお客様にもお越しいただけてうれしいです。
ーー腹話術の魅力は?
小介:笑いあり、涙ありの、話芸として他にない魅力のあるエンターテイメントだと思います。何と言っても、演者が自分ではない自分になって芸をするという不思議な感覚は腹話術ならではです。また、健康的な面でも定期的に練習することで頭の回転が良くなり、呼吸や姿勢も整うので、高齢の方にはおススメの趣味だと思います。特にコロナ禍で家に引きこもり、体力が落ちてしまった方には良いリハビリになるのではないでしょうか。
ーー今後の課題は?
小介:まだまだ老人ホームの慰問などは難しい状況です。今回の発表会もそうですが、少しずつ活動の幅を広くし、盛り返していきたいと思っています。若い方たちに向け、インターネットやSNSでの情報拡散も必要だと思っています。コロナ禍中にYouTubeを始めたので、そちらも力を入れたいです。
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人が集まること、人前でマスクを外すことがはばかられたコロナ禍で大きなダメージを受けた腹話術業界。エンターテイメントに飢えた人々からの支持により、今後のV字回復を期待したいものだ。
福小介さんが本部会長を務める全日本あすなろ腹話術協会は、50年近い歴史を持つ腹話術の全国組織。全国に支部を持ち、これまでに数多くの腹話術師を輩出してきた。ご興味を持った方はぜひ公式ホームぺージをチェックしていただきたい。
全日本あすなろ腹話術協会
本部所在地:神戸市須磨区前池町3-2-3 サンエービル4F
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)