企業で進む「リスキリング」 DX推進に必要なのは…「管理職や中堅層」のIT研修

全国でキャリアスクールを運営する株式会社リンクアカデミー(東京都中央区)は、企業のリスキリング施策導入者層(経営者・人事担当者)、リスキリング対象者層(経営者・人事担当者以外の従業員)を対象に行った、「リスキリング対象者層のITスキル教育」についての調査を公表しました。調査の結果、2022年から2023年の1年で、企業のリスキリングの取り組みが大幅に進捗していることが窺えたといいます。

調査は、2022年2月と2023年3月にインターネットにて実施され、調査対象の内訳は2022年度1015人(リスキリング施策導入者層507人。リスキリング対象者層508人)、2023年度1054人(リスキリング施策導入者層521人。リスキリング対象者層533人)となっています。

まず、すべての人に「リスキリングについて、ご自身で何らかの取り組みをされていますか」と質問したところ、2022年度調査では、リスキリング施策導入者の回答は「既に取り組んでいる」(15.9%)、「取り組むことを決めている・検討している」(31.0%)、「何も取り組めていない」(53.1%)となり、リスキリング対象者の回答は「既に取り組んでいる」(1.4%)、「取り組むことを決めている・検討している」(5.9%)、「何も取り組めていない」(92.7%)となりました。

一方、2023年度調査では、リスキリング施策導入者の回答は「既に取り組んでいる」(52.6%)、「取り組むことを決めている・検討している」(42.4%)、「何も取り組めていない」(5.0%)となり、リスキリング対象者の回答は「既に取り組んでいる」(42.8%)、「取り組むことを決めている・検討している」(44.1%)、「何も取り組めていない」(13.1%)となりました。 

また、現在どのような状況にあるのか具体的に聞いたところ、以下のような回答が寄せられました。

▽【既に取り組んでいる】DX戦略を行っているためITスキルを習得する必要があり、資格試験などを中心とした取り組みを行っています

▽【取り組むことを決めている・検討している】DXにより今までとは環境が変わる可能性があると考えているため、リスキリングに取り組むつもりではいるが、具体的に何から取り組めばよいのか分からないのが現状

次に、リスキリング対象者層に対して「リスキリングについて、会社側にどのような機会を求めていますか」と質問したところ、2022年度調査では「ITスキルに関する研修の提供」(34.8%)、「ITスキルに関するeラーニングの提供」(29.5%)、「外部からのIT人材(指導者)の確保」(25.4%)が上位3つとなりましたが、2023年度調査では「ITスキルに関する研修の提供」(52.0%)「OJTの場の提供」(40.0%)、「外部からのIT人材(指導者)の確保」(38.3%)が上位3つとなりました。

また、「リスキリングによって具体的にどのようなスキルを高めたいですか」と質問したところ、2022年の調査では「ExcelやPowerPointなどの基本的スキル」(28.4%)、「マーケティングなどの知識」(25.8%)、「プログラミングなどの高度なスキル」(22.1%)が上位に挙がった一方、2023年度調査では「プログラミングなどの高度なスキル」(30.2%)、「ノーコードやRPAなどの中程度のスキル」(23.6%)、「マーケティングなどの知識」(16.0%)が上位となりました。

続いて、リスキリング施策導入者層に対して「DX推進においてどのような課題がありますか」と質問したところ、2022年度調査では「そもそもDX戦略を描けていない」(30.0%)が最多となり、「特に課題はない」(28.0%)、「プロジェクトを推進するコア人材が不足している」(24.1%)、「DX推進のための投資判断ができない」(22.3%)と続きました。

一方、2023年度調査では「DX推進のための投資判断ができない」(35.3%)が最も多く、「レガシーシステムが残ってしまっている」(34.0%)、「プロジェクトを推進するコア人材が不足している」(32.8%)「そもそもDX戦略を描けていない」(28.8%)と続きました。

また、「IT人材の不足をどのように解決しようとしていますか」と質問したところ、2022年度調査では「中途採用」(46.8%)、「既存従業員へのITスキル育成」(30.0%)、「フリーランスなどへの業務委託」(24.1%)が上位3つとなり、2023年度調査では「中途採用」(43.0%)、「派遣会社やアウトソーシングの活用」(34.7%)、「既存従業員へのITスキル育成」(28.6%)が上位3つに挙がりました。

一方、「既存従業員へのITスキル育成に向けて、どのような機会を提供していますか」と質問したところ、2022年度調査では「外部からのIT人材確保」(37.5%)、「ITスキルに関する研修の提供」(36.5%)、「OJTの場の提供」(25.4%)、2023年度調査では「ITスキルに関する研修の提供」(46.3%)、「外部からのIT人材確保」(43.4%)、「OJTの場の提供」(39.9%)がそれぞれ上位3つとなりました。

さらに、「既存従業員には具体的にどのようなITスキルを高めて欲しいですか」と質問したところ、2022年度調査では「ExcelやPowerPointなどの基本的スキル」(23.3%)、「プログラミングなどの高度なスキル」(20.3%)、「マーケティングなどの知識」(18.0%)が上位に挙がったのに対し、2023年度調査では「ノーコードやRPAなどの中程度のスキル」(27.8%)、「ExcelやPowerPointなどの基本的スキル」(25.0%)、「プログラミングなどの高度なスキル」(23.6%)が上位に挙がった結果となりました。

最後に、「DX推進を阻む人的要因・課題をどのように解決したいと思いますか」と質問したところ、「中堅層の(IT研修など会社主導での)育成」(31.3%)が最多となり、以下、「管理職の(IT研修など会社主導での)育成」(30.3%)、「若手の(IT研修など会社主導での)育成」(25.9%)と続きました。 

また、その理由について具体的に聞いたところ、以下のような回答が寄せられました。

▽【管理職の(IT研修など会社主導での)育成/中堅層の(IT研修など会社主導での)育成】上が変わらないと社員がついてこない

▽【管理職の(IT研修など会社主導での)育成】管理職の意識が変わらないと会社全体が変わらないと思うから

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