最愛の先代猫ががんで天国へ その1年後にやってきた子は容姿もしぐさも先代そっくりに! 宝飾店の人気看板猫
JR徳島駅前の商店街にある宝飾店「ブルー・ブラッド」。代表の杉原正伸さん(63)、鈴代さん(53)夫婦はオリジナルの指輪、ブレス、ピアス、ペンダントなどのオーダーメイド製作や開運相談を行っている。店内奥に猫用ケージがあり、夫婦の愛猫でシャムミックスの「みゅうII(ツー)」(メス、4歳)とラグドールの「じゅり」(メス、8歳)がくつろいでいる。営業中、2匹はその中で過ごすが、猫好きのお客さんが来た時はケージの外でなでてもらうことも。以前、夫婦が娘のように可愛がっていた先代のシャム「みゅう」(メス)は、がんを患い7歳で天国へ。その1年後に出会ったみゅうIIは、容姿もしぐさもみゅうとそっくりだという。出会いや経緯などについて、ご夫婦に話を聞いた。
正伸さん 先代のみゅうとは、2011年、スーパーの張り紙を見たのが出会いのきっかけでした。そこには母猫から育児放棄された生後1ヶ月のシャムの女の子が載っていました。私と鈴さん(妻の鈴代さん)は2006年に結婚したのですが、「いつか猫を飼いたいね」とずっと話していました。会ってみるとひとめぼれ(笑)。その子を「みゅう」と名づけて我が家に迎えることにしたんです。
鈴代さん 私の母は猫が苦手で、実家では飼いたくても飼えなかったんです。みゅうが家族になってくれて、すごく嬉しかったです。少し噛み癖があったものの、好奇心旺盛で甘えんぼう。私たち夫婦には、今もですが、子どもがいないので、娘同然でした。自宅から店まで一緒に出勤するようになると、店の看板猫として人気者になりました。2015年にはラグドールの「じゅり」を“次女”に迎え、看板娘2人体制で、仲良くお客さんをもてなしていたんです。
正伸さん ところが2017年10月、みゅうのくしゃみや鼻水がひどくなり、最初は猫風邪かなと思っていたんですが、香川県にある四国動物医療センターで検査を受けた結果、悪性リンパ腫と診断されたんです。毎週1回、車で約1時間半ほどかけて病院まで通い、放射線や抗がん剤治療を受けました。一時はよくなった時期もあったのですが、次第に脳や腎臓にがんが転移して…。翌18年6月。店休日の5日に病院へ連れていく予定でしたが、1日に容体が急変。すぐ店を閉めて病院へ走ったのですが…翌2日、僕の腕の中で息を引き取りました。
鈴代さん 不思議なことに5月31日の夜、元気な姿のみゅうが私の夢に出てきたんです。みゅうは「5日に天国へ旅立つ予定だったけど、治療がすごくつらいから、2日にいってもいい?」って私に聞くんです。私は、みゅうにとって治療がそんなに辛かったんだと知り、涙ながらに、それならもういっていいよ、って返事をしました。そうしたら「うん、わかった」って…(泣)
正伸さん みゅうが天国へ旅立ってちょうど1年が経ったころ、ある工場で野良のシャムの子猫を保護し、里親を探されている方と出会いました。保護主さんいわく「母猫から育児放棄され、一時は工場の従業員の方が面倒をみていた」「人見知りする子で知らない人を見たらすぐ隠れてしまう」とのことでした。鈴さんと初めてその子に会いにいくと、隠れるどころか、私たちの顔をみるやいなや、喉をごろごろ鳴らし、抱っこもさせてくれたんです。
鈴代さん やってきたのは生後2ヶ月くらい。みゅうと同じシャムだったので、嬉しかったです。当初、名前は「にゃにゃ」と名付けたんですけど、呼んでも振り向かないんです。あるとき「みゅう」って呼んでみたら「にゃー」って(笑)。それで名前を「みゅうII(ツー)」に変えたんですよ。
正伸さん 先代みゅうは幼いころ、尻尾がくるっと丸まって体の右側にくっついていました。大きくなってからは普通の状態に戻りましたが、特徴のある尻尾でした。驚いたことに、みゅうIIも幼いころ、尻尾が同じように丸まって体にくっついていたんですよ。また、これは少し大きくなってからですが、みゅうはごはんをあげる前、私が自分の太ももを叩くと、後脚2本で立って、前脚2本で私の膝をタッチするしぐさをよくしていたんですけど、みゅうIIも、教えていないのに同じしぐさをするようになりました。遊んでほしいとき、みゅうはひもをくわえて私たちの元へ持ってきていたんですが、みゅうIIも同じことをするんですよね。
鈴代さん 夫も私も、みゅうIIは先代みゅうの生まれ変わりだと感じています。じゅりがそばにいてくれたとはいえ、みゅうのいない生活はものすごく寂しくてつらくて…一時は心身ともにボロボロでした。いなくなったみゅうに、私は戻ってきてとも、ずっとそばにいてとも言えず、ただ、幸せな家庭に生まれ変わってねと願っていたんです。今は、互いに会いたいという強い気持ちがあればまた会えるということを、みゅうが教えてくれたような気がしています。神様が「今度も同じシャムでいいよ」って言ってくれたのかな。
正伸さん みゅうIIは先代みゅうより甘えんぼう度合いが増しました。7歳で旅立ったみゅうにとっては「もっと甘えたかった」との思いがあったのかも。みゅうのファンだったお客さんたちも、みゅうIIが来てから、「そっくりだね」「よかったね」って言ってくれます。猫たちは好きなときに食べて寝て甘えて、といった感じでマイペースですけど、こうして普通に、猫たちと一緒に暮らせていること。そんな当たり前の日常が、かけがえのない大切な時間なんだと今は感じています。
【店名】「ブルー・ブラッド」
【住所】徳島県徳島市寺島本町西1-59 徳島駅前ポッポ街商店街
(まいどなニュース特約・西松 宏)