「運転手がカレーを食べている」目撃者がバス会社にクレーム→運転手憤慨「食べてはいけない理由を教えて」

 「高速バスの運転手がサービスエリアでカレーライスを食べている」ーーこんなクレームがあるバス会社に寄せられました。自身の休憩時間を利用し、食事をしていただけの運転手は「休憩中にカレーを食べてはいけない理由を具体的に説明してほしい」と憤慨しています。

 中部地方で高速バスの運転手として働く20代男性、ツイッターネーム「高速バス運転士@中部地区」さん(@HWBDChubu)は先日、自身の身に降りかかった理不尽なクレームを問題提起も込めてツイッターに投稿しました。ユーザーからは「運転手さんがふびんすぎる」「制服を着た人は食事するなってこと?」「運転手は人間なんですよ」「SAは長距離運転の休憩場所。ゆっくり休憩してください」「休憩中は好きな物食べてください」などの声が寄せられています。

■クレーム主へ「不快に思った具体的な理由、説明して」

 高速バス運転士@中部地区さんに話を聞きました。

──どんな状況だった?

 「ちょうどお昼ごろ、30分ぐらいの休憩を取り、SAのフードコートでカレーライスを食べていました。弊社では労基法の通り、休憩中は基本的に車外に出て自由に過ごせます。営業所に帰庫し、乗客からクレームがあったことを所長から告げられました。所長には『休憩時間なので今後も食事します』と伝えたら、何も言わなくなりました」

──クレームを知り、どう思った?

 「私は、お客様がクレームや意見を言うのは権利だと思っています。会社や運転手が気付いていないことをご指摘くださることもあるので、お客様を責めるつもりはございません。ただ、クレームを入れる以上、不快に思われた具体的な理由、改善方法等を建設的に述べる必要があると思います」

──会社の対応には。

 「会社のクレーム処理能力の低さも問題です。どの企業様もそうだと思いますが、クレームが入ったからといって、何でもかんでも受け入れる必要はなく、理不尽なクレームは運転手におろしてくる必要はありません。運転手が不愉快です」

 「会社は運転手を大切にすることが最も重要だと思います。今回のような理不尽なクレームが入ったとき、会社が社員を守る態度を取ってほしいのです。そうしなければ、バス運転手の人手不足は改善されません」

──理不尽なクレームは他にも?

 「夜中のサービスエリアには大量のトラックが停まっており、バス停車枠にもトラックで埋まっています。そのため、バスを建物から遠くに停めざるをえません。そうすると、乗客から『わざと遠くに停めた』などとクレームがきます」

 これまでにも全国各地で、制服姿の警察官や救急隊員などが、休憩のためにスーパーやコンビニなどに入店する姿を見た市民から「仕事をサボっている」などの意見が寄せられる例がありました。最近では、ストリートピアノの音や、田んぼのカエルの鳴き声にまでクレームが出たケースも。高速バス運転士@中部地区さんは「コロナ禍以後、今まで以上に人々の寛容さが失われていると危機感をおぼえます」と危惧します。

 高速バス運転士@中部地区さんは再度、ツイッターを更新。実際のカレーライスの写真とともに「温かい店員さんが用意してくれるこのカレーは、バスの長距離運転を癒してくれる、絶品のカレーです」と投稿しました。写真に込めた思いとはーー。

 「理不尽なクレームには屈しない。これからも休憩中は食事は取ります」(高速バス運転士@中部地区さん)

(まいどなニュース・金井 かおる)

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