物置下にすみついた猫家族→1カ月かけて必死に子猫を全匹保護 「次々と放っておけない猫や犬に出会っちゃう」 里親を探して、残った1匹が家族に

■お腹の大きな猫

おはなちゃん(1歳・メス)は、2021年8月、群馬県在住のKさん宅の近所に現れた。見慣れない猫だったという。

「身体は小さいけどふっくらしたお腹をしていて、妊娠しているかもしれないと思いました。シャム系の美人さんでした。その後、あっという間にお腹が大きくなり、産まれるなあと思いました。でも、どうしたらいいのか分からないまま時が過ぎていきました。あれ?と思ったらお腹が小さくなっていて、子猫を産んだようでした」

■全員捕獲しよう

近所で地域猫にごはんを与えている人に相談すると、母猫も子猫も全員引き取るつもりだと言ってくれた。それなら保護しようということになり探したら、母猫は2回ほど引っ越した後、Kさんの隣の家の物置の下に住み着いた。

「保護するには捕獲器が必要だったので、保護団体に問い合わせると、貸し出すには母猫と父猫両方の不妊手術が必要だと言われたのです。そこで、餌やりさんと一緒に全員捕獲することにしました」

子猫たちは動き回れるくらいに成長していて、Kさんと餌やりさんは数匹ずつ捕獲した。母猫も捕獲して動物病院に連れて行くと、まだ捕獲できていない子猫がいるなら母猫はリターンしないといけないと獣医師に言われた。

「子猫を全部捕獲したら、母猫も一緒に飼ってもらうことができると思っていたのですが、餌やりさんは、その時にはもう飼う気がなくなっていたようでした。結局、母猫はずっとリターンしたままにすることになりました。とても賢い母猫で、子猫たちが捕獲器に近づくと、『入ってはだめ』と伝えていました。子猫6匹を全員捕獲するのに1カ月かかりました。最後の子を捕獲した時は涙が出ました」

■母猫に似た賢い猫

結局、餌やりさんは子猫1匹だけを引き取った。残りの子猫は、餌やりさんの知り合いに1匹、Kさんの友人が1匹、娘さんが2匹、Kさんが1匹迎えることになった。

「おはなは最後まで残っていた子で、他に希望者がいたら譲渡するつもりでした。でも、なかなか里親さんが見つからず、情が湧いたので私が迎えました」

おはなちゃんは、初めはシャーシャーと威嚇してきたが、ふわふわのベッドで撫でながら可愛がるとすぐに人馴れした。猫風邪がなかなか治らず、今でも目がうるうるしているそうだ。

釣竿のおもちゃが大好きなおはなちゃん。Kさんにちょっと時間がありそうだなと思うと、鳴いて「遊んで」とせがむ。途中で手が止まったり手抜きをしたりすると、釣竿を手で動かしながら、「こうやって」と伝えてくるそうだ。母猫に似て賢いという。

Kさんは、2008年頃に保護した犬を飼ったが、その犬が2年後に他界。数年後、捨てられていた子犬を5匹保護した人から相談され、1匹譲り受けて里親になったという。その犬は15歳で他界した。

「猫より犬が好きだったのですが、2010年にさんたという猫を保護してから猫も好きになリマした。どの子も犬や猫が欲しくて飼ったのではありません。次々放っておけない犬や猫に出会ってしまうのです」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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