大阪・激安「スーパー玉出」がまたもや「珍ご飯」 今度の味は「うなぎもどき重」…いかにも“もどき”な味をお楽しみください!?
ダサかわいい!と評判のエコバッグや1円セール、冬にはオホーツク海の氷の妖精と呼ばれる海の生物「クリオネ」を販売するなど、常に話題を提供してきた大阪の激安「スーパー玉出」。昨年秋に、うなぎや焼き肉、天丼の「たれ」をまぶしただけの「たれご飯」シリーズを発売して注目を浴びたが、今年の4月14日、「たれご飯」シリーズのスピンオフと言うべき「うなぎもどき重」が発売に。果たしてどんな味なのか「スーパー玉出」を運営する株式会社フライフィッシュの取締役・國枝尚隆さんに突撃してみた。
■「うなぎもどき重」の前身は「たれご飯シリーズ」!
「スーパー玉出」は、大阪府と兵庫県に店舗を展開するご当地スーパー。24時間営業の店も多く、種類も豊富なお総菜やお弁当類は、主婦はもちろん、帰宅の遅いサラリーマンにも強い味方だ。
今回訪問したのは恵美須店。大阪・新世界のシンボルである「通天閣」にほど近いディープな大阪の食を支える店舗だ。
「うなぎもどき重」は、「たれご飯」シリーズと共に、恵美須店限定商品。「うなぎたれご飯」「焼き肉たれご飯」「天丼たれご飯」を長男・次男・三男と設定し、ありそうでなかった味付きご飯として人気に。
「実は、『うなぎたれご飯』はずいぶん前から別の店舗で不定期に販売していたんです。これをシリーズ化できないかと思い、商品開発を担当するデリカ部の小林勝彦に相談しました」
ちなみに、國枝さんが当時作ってみたかったのは、焼き肉とすき焼きのたれご飯だったそう。総菜の商品開発を一手に担う小林さんは、その相談を受け、早速たれご飯を研究。お米にしっかり味が付くように、と長年の知恵を駆使して作り出したのが「焼き肉たれご飯」だった。キムチの辛味とコクのあるたれご飯は、具がないのに焼き肉をイメージさせるものとなった。
その後生まれたのが、隠し味に天かすを入れることで天丼らしさを倍増させた「天丼たれご飯」。どれも1パック149円。安くておいしくて面白い! スーパー玉出らしさ極まるご飯となった。その後、3つの味を一つのパックに収めた「たれご飯3兄弟」181円も発売された(※価格はすべて2023年4月時点)。
「これで3兄弟。出来上がった時はうれしかったですね」と國枝さんは振り返る。
■次なる挑戦は「うなぎもどき重」!
そして、2023年4月、新商品が登場した。それが「うなぎもどき重」235円(※価格は2023年4月時点)。「うなぎたれご飯」の上に、うなぎ?に見える具材がのせてある。
「これは、うなぎではなくて、あくまで“もどき”です。何でできているかは企業秘密です」と國枝さん。ラベルにも「うなぎではありません」と、“もどき”であることがしっかりと明記されている。
「例えば、本物の蟹ではないけど蟹味がする食品ってあるじゃないですか。それなら“うなぎもどき”はできないだろうか?と思ったんです。小林に相談すると『それは面白いですね!早速チャレンジしてみます』と。でも最初の試作品は不評で。パサパサしていて食べられたものではないと。しかし、小林はめげなかったんです。そこから2カ月後には試作第2弾を持ってきてくれたんです。その時は、味はよくなっていたのですが硬くて。柔らかく仕上げることが意外と難しいそうで、水分量などを調整するのにかなり苦労したようです」
その後、さらに3度の試食を繰り返し、発案から約6か月かけて完成。味の決め手は?
「やはり、うなぎもどき単独で食べてもおいしいことですね。玉出のCMなどでコラボしている大阪のアイドル『カラフルスクリーム』のみなさんにも試食をしてもらったのですが、ご飯と一緒に食べるとうなぎっぽく感じると言ってましたね」
■実際に食べてみた!これは、山椒と海苔のマジック!?
そんな話を聞いたあと、実際に「うなぎもどき重」を食べてみた。すると…。蓋をあけた瞬間、鮮烈な山椒の香りが!見るとうなぎもどきの表面には、たっぷり山椒がかかっている。
ひと口かじると、山椒の風味はもちろんだが、その弾力に驚いた。むちっとした食感とうなぎの皮をかじった時のような、じゅわっとあふれる旨味!なにこれおいしい!
よく見ると、うなぎの皮の役割を果たしているのは、海苔。さばいたうなぎの身のように、もどきにも浅く切り込みが入っているのだが、裏面には、皮に模した海苔がしっかりと張り付いて、これがうなぎ感をかなり強く打ち出してくる。この海苔がタレを含んで柔らかく伸び、独特の弾力がうなぎをかじった時の食感によく似ているのに驚いた。
山椒の香りと甘いタレ、そこにうなぎの様なじゅわっとした食感が加わると、あれ?これはうなぎでは?と思わせてしまう工夫があった。
さらに、下に控えるのは甘い旨みをまとった「うなぎたれご飯」。甘いタレと山椒、ほんのり香ばしい風味が広がり、うな重的要素はてんこ盛りだ。
「そこなんです。本物のうなぎと見分けがつかないような、食べても違いが判らないようなものになってしまうと面白くないんです。いかにも“もどき”、それが大事なんですよ」と國枝さんは力説。
こんな面白いものを、またもや作ってしまったスーパー玉出のデリカ部。
「お客様には、どこまでうな重に近づけたか、匂いや味、見た目、それを楽しみながら召し上がっていただけたらと思います。一生懸命、大人の真似をしているけれど、やっぱり大人に成りきれないちっちゃな子供、とでも言いましょうか。あくまで“もどき”なので、ぜひそこを楽しんでほしいです」
最後に國枝さんはこう付け加えた。
「『たれご飯』シリーズもそうなのですが、スーパー玉出のお総菜は、商品開発の担当者が苦労を重ねて作っているんです。とにかく安くておいしいものを提供したい、という一心なんですよ」
実際、円安などの影響で資材や食材などのいろいろなものが高騰し、激安をうたっているスーパー玉出でも値上げをしなければならない商品が出てきたそうだ。しかし「容器を安いものに変えたり、食材ルートを工夫して、このまま価格を据え置きできないかと工夫を重ねています。『低価格でおいしいものを!』という思いだけなんです」
そんな気持ちが詰まった「うなぎもどき重」は、恵美須店でのみ販売中(数量限定)。午前9時過ぎに店頭に並ぶので、その時間が狙い目だ。7月には土用の丑の日がやってくる。本物のうなぎとともに「うなぎもどき重」も味わってみては?
(まいどなニュース特約・田村 のりこ)