働く女性「母親になって後悔している」4人に1人が回答…「キャリアアップが遅くなる」「夫に当たって離婚危機」「身体的にしんどい」
政府は6月13日、異次元の少子化対策の具体的な中身「こども未来戦略方針」を正式決定しましたが、現在こどもがいるみなさんは、母親になったことをどのように考えているのでしょうか。全国の従業員数10人以上の企業に勤務する20~49歳の女性300人(こどもがいない/いる各150人)に調査をしたところ、こどもがいる人の約4人に1人が「母親になって後悔している・後悔したことがある」と回答したそうです。
株式会社識学(東京都品川区)が、「働く女性のこどもに関する調査」と題して2023年4月にインターネットで実施した調査です。
まず、こどもがいない150人に対して、「今後、こどもを産みたい、もしくはこどもを産む予定はありますか」と聞いたところ、64.0%の人が「こどもを産む予定はない」(こどもを産みたいとは思わない、産む予定はない:44.0%・こどもを産みたいと思っているが、産む予定はない:20.0%)と回答しました。
また、「こどもを産みたいと思わない・産む予定がない」と答えた96人に、その理由を複数回答可で答えてもらったところ、「こどもが欲しいとは思わないため」(34.4%)、「自由がなくなるため」(32.3%)、「こどもを産む・育てる自信がないため」「自分自身のために時間を使いたいため」(いずれも30.2%)など、経済的なことよりもライフスタイルが変化することが上位に並びました。
さらに、こどもがいない150人に対して、「こどもの出産・妊娠について、心配だと思うこと」を複数回答可で答えてもらったところ、「教育費等含めた経済面」(47.3%)、「育児と仕事の両立」(43.3%)、「自分自身の精神・体力がもつか」(41.3%)、「育児の責任の重さ」(38.0%)という結果になり、実際に出産・妊娠を想像した場合では、経済的な部分が心配事であることがうかがえました。
他方、こどもがいる150人に対して、「母親になって後悔している・後悔したことがありますか」と聞いたところ、25.3%の人が「母親になって後悔している・後悔したことがある」(現在も後悔している:6.0%・後悔したことがある:19.3%)と回答。
その理由として回答者からは、「こどもが優先になるのはあたり前だけど、その為に自分の時間が持てなくなり、自由がなくなったから」(48歳)、「自分の時間が無くなった、こどものことでイライラが増えた、こどもがいることでキャリアアップが遅くなる」(46歳)、「夜泣きで眠れない日が続いていた時期。 夫に当たって離婚危機を迎えた」(30歳)、「フルタイムで働いているので身体的にしんどい」(49歳)といった意見が寄せられています。
また、「日頃の、パートナーとの家事分担比率」については、「自分78.3%:パートナー18.5%:その他(父母やハウスキーパー等)3.3%」(いずれも平均値)と、多くの家事を女性が引き受けていることがうかがえる結果となりました。
次に、全回答者に対して、「政府の少子化対策に期待していますか」と聞いたところ、68.3%の人が「期待していない」(期待していない:33.0%・あまり期待していない:35.3%)と回答。これをこどもの有無別に「期待している」と答えた割合をみると、こどもがいる人が42.0%であったのに対し、こどもがいない人では21.3%と、20.3ptもの差がみられました。
他方、勤務先に必要だと思う「出産・育児においての制度・体制」について複数回答可で答えてもらったところ、「時短勤務」(59.0%)が最多となったほか、「育児手当」(56.3%)、「出産手当」(54.3%)、「こどもの都合によって勤務ができる会社の雰囲気」(51.7%)などが上位に挙げられています。
続いて、「自身の会社では、こどもを出産しやすい・育てやすい環境が整っていると思いますか」と聞いたところ、36.0%の人が「整っていると思う」(そう思う:8.3%・ややそう思う:27.7%)と回答。これをこどもの有無別に「整っていると思う」と答えた割合をみると、こどもがいる人が43.3%であったのに対し、こどもがいない人では28.6%と、14.7ptの差がみられました。
それぞれの回答理由について、「勤務先が出産・子育てしやすい環境だと思う」と答えた人からは、「時短制度や育児休業がきちんととれる」(38歳)、「時短勤務や、早めの産休取得など、福利厚生が充実している」(32歳)といった声が寄せられた一方で、「勤務先が出産・子育てしやすい環境だと思わない」と答えた人からは、「特に何の補助や施策も取られていないから」(43歳)、「出産を経て、職場復帰した女性がいない」(44歳)などの回答が寄せられました。
また、63.7%の人が「自身の会社は、育児休業が取得しやすいと思う」と回答しており、その理由として、「妊娠すると自動的に育休を取る雰囲気にある」(32歳)、「申請すれば通るが、正社員でないと難しい」(35歳)、「取得は可能だが、元の部署に戻れる保証は一切なし」(43歳)、「制度はあるが、育休をとった人は20年間で2人のみ」(42歳)といった回答が寄せられました。
一方、「育休取得しにくい」(36.3%)と回答した人からは、「しっかり育休を取得できるルールがない、知らされていない」(25歳)、「理解者が少ない。既婚でも既にこどもが成人済み、もしくは育児にかかわってこなかった上司の圧力がある」(33歳)などの意見が寄せられたそうです。
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調査を実施した同社は、「企業が制度やルールを明確化し、体制を整えていくことで働く女性が『こどもを産みたい・育てたい』と感じるきっかけに繋がるのではないでしょうか」と述べています。