「傘の横持ちは危険です」梅雨時期に増える危険な傘の持ち方… 正しい持ち方を日本洋傘振興協議会に聞いた
梅雨を迎え、傘を持ち歩く人が増えるこの季節。よく話題にあがる傘の「横持ち」をよく見かける時期でもあります。
横持ちとは傘を水平にする持ち方。階段などでは傘の先端が後ろを歩く人の顔の高さに来たり、その状態で腕を振ることにより他の人の顔や体を突いてしまう危険性もあります。SNSでは「目に当たりそうで怖い」と危険を感じる声のほか、「子どもの顔に当たったことがある」「メガネをしていなければ目に当たっていた」など、傘が当たったことのある人の声もあがっています。
全国の洋傘製造業者有志により設立された「日本洋傘振興協議会」の運営事務局に、傘の横持ちについて問い合わせたところ、担当者は「横持ちは危険ですし、傘にもやさしくありません」と苦言を呈します。傘の正しい持ち方や使い方について、事務局担当者に聞きました。
■横持ちで「幅をとってない」という感覚に
ーー傘の「横持ち」について
「『横持ち』は危険です。(傘を水平に持つことで)自分が想像している以上に、後方あるいは前方の距離を占有してしまいます。傘を横に持って腕を振りながら歩くと、60センチ~80センチくらい後ろにいる人にさえ、傘の先端が当たりそうになります」
ーー正しい傘の持ち方は
「基本的にはハンドル(持ち手の部分)を手で持って、石突き(先端)が地面方向に向くように持ちます。真っ直ぐ垂直に、下に垂らすように持ち運ぶのが傘製品にとっては余計な力が加わらずやさしいです。また、なるべくそれに近いカタチで持つと壊れにくく、長持ちします」
ーーなぜ横持ちする人がいるのでしょうか
「普段の生活動作では、傘を持っているときに自分がどれくらいのスペースを占有しているか、あまり考えることはありません。雨の日に傘を開いて使っているときはなんとなく相手との間隔が広く必要だと意識しますが、傘を閉じて持ち歩く時にそれを意識する人は少ないです。
横持ちをする人は、自分の前後方向に傘を向けますよね。自分から見れば『幅をとってない』という感覚が、周囲への注意を向けなくさせているのだと思います。歩道や駅の構内で『左右に傘を横持ちした人』が向かってきたら『邪魔だな』と感じますよね。
傘はゴルフクラブ、野球のバット、テニスラケット等と同じ長物です。『長いものを持っている』という感覚を常に備えることで、周囲へ気配りでき、安全に過ごせるものだと考えています」
■傘を使う上での注意点は
ーーほかに傘を持つ上で注意点は
「雨の日だからこそ快適に外出したいですよね。
1:さす、持ち運ぶ時どちらも人との距離感を意識して使う
『傘』という道具を使うので、いつも以上にスペースをとります。人やモノにぶつけない、ヒヤッとさせない距離感を保ちましょう。車間距離と同じですね。
2:『開いて使う』『閉じてしまう』
閉じてボタンを留めずにお店や建物の傘立てに放り込む、あるいは電車やバスに乗る人を見かけますが、ボタンで閉じてからしまうのが好ましいです。
3:電車・バスなどで立っている際、腕やカバンに傘のハンドルを引っかけて持つとき
雨水が傘の先端から零れ落ち、前に座っている方、横や後ろに立っている方を濡らしている光景も見かけますが、トラブルのもとです。自分が濡れたく無いように気を遣うのと同じかそれ以上に、周囲の人に気を遣おうということです」
◇ ◇
ほかにも「日本洋傘振興協議会」の公式サイトでは、安全に・大切に傘を使う方法として以下のことが挙げられています。
・傘のハンドルを回さない:ハンドルやロクロに遠心力がかかり負担がかかるため
・振り回したり、杖替わりにしない:傘に負担がかかるうえ、ゴルフクラブのよに振り回す行為は周囲に当たる危険を伴う
・なるべくハンドクリームや日焼け止めクリームがついた手で触らない:ハンドルの素材などによっては色落ちの可能性がある
・強く水切りをしない…傘への負担が大きいので、水切りはやさしく
・車内に放置しない…骨が錆びたり、熱で曲がる可能性がある
・傘を濡れたまま放置する…骨が錆びたり、生地が傷む原因になる
(まいどなニュース・門倉 早希)