「弱っていく姿を見ているのがつらい」貧血状態の愛犬…輸血をSNSで呼び掛け→供血犬との出会いに感謝「命をつないでくれた」
「ぶん太くんに輸血してもらい無事に治療を始められることになりました
本当に感謝しても足りないくらいです…」
愛犬への輸血に至るまでの投稿がTwitterで注目を集めました。
輸血を受けたのは、コーギー犬のぽてちくん。今月13日に9歳になったばかりの男の子です。ぽてちくんは急激な貧血状態となり、検査を進めるため輸血が必要となりました。ただ、ぽてちくんの血液型は犬の中でも珍しい「DEA1.1マイナス(ー)」。そこで飼い主こコーギー☆ぽてちさん(@potechi_corgi)は、同じ血液型のワンちゃんを探すため、Twitterに投稿し「供血(献血)」のお願いを呼び掛けました。
投稿には「供血犬」探しに協力する人たちが続出。すると、1週間も経たないうちに同じくコーギー犬の男の子ぶん太くん(6歳)の飼い主・ぶん太@一番星コーギーさん(@firststar_bunta)から「供血をしたい」と申し出があり、今回の輸血に至ったといいます。
ぽてちくんが輸血を受けるまでのことや現在の病状などについて、ぽてちくんとぶん太くん2匹の飼い主さんにお話を聞きました。
■急激に貧血状態となった愛犬 検査の麻酔で輸血が必要、希少な血液型のため「供血犬」探しが困難…
--ぽてちくんの輸血をTwitterで呼び掛けようと思ったいきさつは?
ぽてちさん「最初は足を引きずっていたので近所の病院で診てもらいましたが、良くならないため大きい病院で検査することになりました。検査の結果、足の原因よりも貧血がひどいことが判明。3月末に受けた健康診断では血液検査はすべて正常だったため、たった2カ月で急激な貧血状態となっておりとてもショックでした。
検査を進めるためには、麻酔をしなければならず、貧血がひどく麻酔のリスクが高かったため、輸血が必要だったんです。病院でも供血犬を探してくれていますが、なかなか難しいことだそうで、手遅れにならないよう自分でも探すようにと言われてTwitterで呼び掛けました」
--ぽてちくんは、「DEA1.1マイナス」というワンちゃんの中でも少ない血液型だそうですね。
ぽてちさん「そのようです。全体的な割合だと犬の10%くらいがマイナスだと、ある記事で読みました。ただ犬種によって割合は違うようで、コーギーでは半分くらいがマイナスだと言われているとのこと。マイナスの子はマイナスの子からしか輸血できないため協力してくださる方が見つかりにくいと聞きました」
--とはいえ、すぐに供血の申し出があったとのこと。
ぽてちさん「はい。Twitterに供血犬探しの投稿をしてすぐにぶん太くんの飼い主さんから連絡をしていただけました。いつ貧血が重症になるか分からず、血液さえあればとりあえず命をつなげられる状態だったので、ぽてちを失いたくない不安でとてもいっぱいでした。ぶん太くんの飼い主さんから連絡があったときは、うれしい気持ちと、輸血をする際にはおとなしい子でも鎮静剤をかけるなど自分の子のリスクも考えて手をあげてくださったことにとても感動して涙が止まりませんでした。また都合が合う日など決める際は、その日付までぽてちがもつかどうか…どんどん歯茎が白くなって弱っていく姿を見ているのがとてもつらかったです」
■輸血後も治療が安定するまで、引き続き「輸血の協力をお願い」
--輸血を受けて、ぽてちくんは?
ぽてちさん「輸血をしていだだけたおかげで、骨髄検査、CT検査などを進められました。その結果、免疫疾患で赤血球のみ骨髄から出る前に壊されてしまっている状態だと分かりました。今は第1段階の治療で免疫療法のステロイドのみで様子をみているところです。
今回ぶん太くんが手を挙げてくれていなけば…と思うと今でも怖くてたまりません。病院にぶん太くんが駆けつけて来てくれた時は、家族一同感謝の気持ちでいっぱいになり、またぶん太くんのご家族もとてもあたたかい方でこんなに優しい方がいるのかと感激しました。また、SNSでも皆さん応援してくださったり声をかけてくださり、人のあたたかさをかみしめています」
--今後は?
ぽてちさん「薬が効くかどうかは個体によって違うようで、効かなければどんどん赤血球の破壊が進み貧血状態になってしまいます。そのため治療が安定するまで、引き続き輸血に協力してくださる子を探していきたいと思います」
■先代犬を血液の病気で亡くした飼い主が輸血に協力
--そんなぽてちくんの命をつないでくれたぶん太くん。飼い主さんが供血をしようと思ったのは?
ぶん太さん「ぽてちくんのことを知ったのはコーギー仲間からのリツイートでした。ぶん太の血液と合致するかもしれない、輸血をする場所もそう遠くないと思い、すぐにご連絡しました。当日は輸血が適合するかを調べる『クロスマッチテスト』という所要時間2時間ほどの検査をまず実施したのですが、その結果"輸血OK"の結果が出た時の、ぽてちくんのご家族の方々の涙するそのお姿は忘れられません…我が家も先代犬を血液の病気(悪性リンパ腫)で亡くしておりまして、ぽてちくんのご家族のお気持ちは痛いほどによく分かるつもりです。そんな中でちょっとのアクションで少しでも救われる可能性があるならと思って供血を申し出ました」
--供血後のぶん太くんの様子はいかがでしたか。
ぶん太さん「輸血は、ぶん太から採取しながら同時にぽてちくんに投与するという手法で行われました。この方法が一番リスクが少ないんだそうです。終わった後、ぶん太はまるで何事もなかったかのようにニコニコしていました。少なくとも供血する側にリスクはほとんどありません。このことが皆さんに伝わり、供血する機会そのものが少しでも増えるきっかけとなればと思います」
■交通事故に遭って緊急に輸血が必要なことも…「愛犬の血液型を知っておくことが大切」
ぶん太くんから輸血を受けて無事に検査を行うことができたというぽてちくん。最後に飼い主のぽてちさんからのメッセージをご紹介します。
「実際に今も輸血をしていただいた直後より歯茎の色はだんだんと薄くなっており、呼吸も荒くなってきています。また、ぽてちの場合は大きい子なので輸血にも大量の血液が必要です…。
海外では人間と同じように犬や猫などの血液のストックがあるようなところもあるようですが、日本では供血のシステムが構築されていないため、人とのつながりのみで供血犬を探さなくてはなりません。さらに犬の血液は2、3週間しか保存できないようで日程調整も高いハードルの1つとなっています。まず、ほとんどの飼い主さんは血液型を調べる機会がないため愛犬の血液型を知りません。そんな中、マイナスの血液型の子を探すのは厳しい状況です。自分の愛犬の血液型を知っておくことは、交通事故に遭ってしまい緊急に輸血が必要な際にも必要になってくると思いました。ぜひ、健康診断で血液検査をする際などについでに血液型も調べておくことをおすすめします。
そして、今回ぽてちの他にも輸血を必要としているワンちゃん、猫ちゃんが多くいることを知りました。血液があれば、助かる命もあると思います。どうか皆さま供血をご検討いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)