衣替えの季節、学生の夏服を見て「夏が来た」と感じる人もいるのではないでしょうか。一方で、すっかり夏の気温なのに長袖の制服を着ている学生を見て「なぜ夏服を着ないんだろう」と疑問に思う人もいるかもしれません。夏に長袖を着る学生には深い理由があるようです。

■1年中長袖ワイシャツを着る息子

A子さん（東京都在住、40代、パート）には高校2年生の息子がいます。6月に入り高校も夏服期間ですが、未だに毎日長袖ワイシャツを着ていく息子が、A子さんは気になってたまりません。息子は昨年の夏服期間もずっと長袖ワイシャツでした。入学前に揃えた夏服の半袖ワイシャツとオプションの半袖ポロシャツは、まだ1度も着ていません。

A子さんは息子に「暑くないの？」「汗染みが目立たない？」などと声をかけ、夏服を着るように促していました。それでも息子は頑なに長袖ワイシャツを貫きます。暑いときは腕まくりをしているので、帰宅時は長袖ワイシャツの袖がくしゃくしゃです。当然のように長袖ワイシャツの痛みが早く、追加で購入しなければなりません。

■「夏に夏服を着ない息子」についてママ友に相談すると…

まるで意地を張っているかのように長袖ワイシャツしか着ない息子について、A子さんはママ友に相談しました。すると「うちの娘なんて、真夏にウールのセーター着てるわよ」と答えるママ友。「え！なんで？」とビックリして理由を聞くと、ママ友は丁寧に答えてくれました。

ママ友の娘は私立高校に通っていますが、夏場は全館冷房が効いていて寒いくらいとのこと。冷え性の娘は夏服だけだと寒くて耐えられず、仕方なく学校指定のウールのセーターを着ているそうです。さすがにウールは暑いのですが、他に学校指定の羽織ものがなく、学校指定外の上着は校則違反になるのでウールのセーターを着るしかありません。「せめて夏用に綿素材のカーディガンを作ってほしい」と、ママ友は嘆いていました。

■日焼けを気にして長袖を着る学生も

ママ友の話を聞いて「なるほど！」と納得したA子さん。息子が高校生になる前も、真夏に長袖の学生を見て疑問だったことが、きれいに解決した気分でした。「とはいえ…うちの息子は冷え性じゃないし、むしろ汗っかきなんだけどな」とA子さんがつぶやくと、別のママ友が「日焼け対策の可能性はない？」と指摘。「うちの息子は肌が弱くて日焼けすると痛くなるんだけど、日焼け止めが面倒だから夏でも長袖を着ているよ」と教えてくれました。

その話を聞き、もう1人のママ友も「わかるわかる」と頷きます。「今は日差しが強いから、半袖で直射日光浴びるより、長袖を着たほうが体感が涼しい場合もあるみたい」とのこと。確かに、A子さんが学生のころとは夏の気温が大きく違うので、制服の着方にも違いが出るかもしれないと思いました。

■夏に長袖を着る学生にはそれぞれの事情がある

ママ友たちに相談してスッキリしたAさんは、帰宅した息子に「長袖を着る深い理由があったのね…」と話しかけました。すると、息子は「なんのこと？」とキョトン顔。「日焼けや冷房対策で長袖着てるんじゃないの？」とA子さんが聞くと「夏でも長袖が多いからなんとなく合わせているだけ」と返答がありました。

「長袖が流行りなの？」「さぁ…」と的を得ない親子の会話に、思わずずっこけそうになるA子さん。「とくに理由がないなら夏服来てほしいんだけど…。卒業まで着なかったらもったいないじゃない」と言うと「毛深いのバレるから嫌だ」と息子はボソリと呟き、逃げるように自室へ行ってしまいました。「そんな理由もあったのね！」と驚くA子さん。確かに、思春期の学生にとっては重要な問題かもしれません。

夏に長袖を着る学生を見ると暑くて大変そうに見えますが、それぞれの理由があるようです。他にはどんな事情があるのか、高校生の息子さんがいるお母さんに似たような体験談を聞いてみました。

▽40代　主婦

去年は一切半袖を着なかった息子。でも今年は5月から半袖着てるなぜ？

▽50代　公務員

なんで半袖着ないのか聞いたら「俺の席はエアコン直撃なんだ」とのことでした。学校はエアコンがかなり強く入っているようです。

▽40代　会社員

高校の息子も半袖を着ていきません。なぜか聞いたら「単純にカッコ悪い」そうです。そんなものなんですかね。

▽40代　事務員

私の妹も、中学生の頃に「肌が荒れているのを見られたくないから」と白の長袖のセーラー服を着ていました。私自身も空調が寒く感じやすいので、職場では夏でも長袖のワイシャツです。娘もそう。今も昔も、なにもおかしいことはないですよ。

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空調の調整や、日焼け対策、コンプレックスを隠すなど、夏でも長袖を選択する理由は様々なようです。また現在は、ファッション面でも夏でも制服は長袖を着るのが流行中で、入学時に半袖を買わない家も増えているようです。

どんな風に制服を着ていたのかも、その子たちの思い出になります。違反していないのであれば、そっと見守っていましょう。

（まいどなニュース特約・わたなべ こうめ）