ギリギリ4990m台に抑えられている所も…日本のトンネルに設けられた「5000mの壁」をご存知ですか
日本のトンネルに設けられた「5000mの壁」がSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは「トンネルと言えば、日本の道路トンネルは5000mを超えるか超えないかで、利便性にも大きな違いが出ることはご存知でしょうか?
その為、三遠南信道の青崩峠トンネルや、中部横断道の樽峠トンネルはギリギリの4990m台に抑えられている所もあるのです。」というKazuyaさん(@keno_michi)の投稿。
そう、一般にはあまり知られていないが、道路法第46条第3項の規定で5000m以上のトンネルでは、危険物を積載した車両の通行が禁止、制限されてしまうのだ。
あくまで危険を防止するための措置だが、トンネルを通行できず別ルートに迂回する羽目になってはドライバーにとっては大迷惑。日本のトンネルに設けられたこの意外な制約について、SNSユーザー達からは
「なのでトンネル掘ってる時に5000m超えそうになると、一部を無理くり地上に出して道路法46条-3の5000m規制を回避するという奥の手が…………」
「どうしても5000mを超えざるを得なかった関越トンネル、飛騨トンネル、袴越トンネル、恵那山トンネル、肥後トンネル、加久藤トンネル、栗子トンネル、あつみトンネル…」
「南九州に至る道路で初めて気づきました。危険物標識が怖かった。高知道はかなり高度を上げるのは、そういう理由なのか、と。」
「これも古い法律でトンネルを高度の高いところに作らねばならず国民の負担になっていると感じます。トンネル側の消火設備、あるいは車輌側の消火設備が一定基準を満たせば例外的にタンクローリーの通過を認める改正をすると長大トンネルが作れるようになります」
など数々のコメントが寄せられている。
■投稿者さんに聞いた
Kazuyaさんにお話を聞いた。
「先日、静岡県と長野県の山岳地帯を結ぶ建設中の三遠南信自動車道の最大の難所でもある、青崩峠トンネルが貫通しました。地盤が悪いなど、貫通まで多くの困難がありましたが、このトンネルや道路が開通することで、秘境で有名な飯田線沿いを通年安全に高速走行することが可能になります。
さらにこのトンネルの長さは4998mなのですが、これには大事な意味があるのです。現在の日本の道路法では、長さ5000mを超えると危険物積載車は通行できないので、関越トンネルは雪の冬場でもタンクローリーなどは峠道の国道17号三国峠の通行を強いられるのです。
ゆえに、折角秘境に快適な長大トンネルを建設しても、山間の輸送なガソリンスタンドへの配達もこのトンネルが利用できず、建設メリットが半減してしまうのです。偶発的とは思えない、建設だけでなく、ルート選定、測量などの高度な技術が用いられていること、意外に5000mを超えると危険物積載車両が通行できないことを知らない方も多いので、皆さん知っておいて損はないと思い、今回の投稿をしました」
読者のみなさんの身近なトンネルにも、あえて5000mを超えないように設計されたものがあるかもしれない。
なお、今回の話題を提供してくれたKazuyaさんは幼少期から鉄道や道路が好きで、交通インフラ全般が趣味に。近年は車移動が多くなったことから標識愛に目覚め、鉄道路線を高速道路標識で擬態化したパロディ作品をSNSで紹介しているそうだ。ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)