帯状疱疹を発症した飼い主、仕事も生活もままならない 家族同様の愛犬を保護団体に託した 別れの日3頭はクンクン鳴いた
飼育放棄によって保護犬となるワンコが後を絶ちませんが、同じ飼い主さんの元で生活していた一方、やむを得ない事情で飼育放棄することになった3頭のトイプードルがいました。ペロ君、マーヤちゃん、レイン君。毛色はそれぞれ異なりますが、いずれもトイプードルとおぼしきワンコたちで、いずれも約9歳です。
■動物病院からの紹介で保護団体に託すことに
ペロ君、マーヤちゃん、レイン君は、それまで大好きな飼い主さんの元で幸せに暮らしていました。しかし、数年前に飼い主さんが、薬の副作用から帯状疱疹を発症。帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが原因で起こり、発症すると皮膚の症状だけでなく、神経にも炎症をおこし、ひどい痛みが現れる病です。
数年間、病気が治らず、仕事はもちろん生活自体がままならなくなってしまったとのことで、身体的にも精神的にも限界に達したといいます。
とても大切にしていたペロ君、マーヤちゃん、レイン君ですが、この子たちの今後を考えると、今の自分よりももっと良い環境があるはずだと考え、まず動物病院に相談。愛知県で保護活動を行う一般社団法人SORA小さな命(以下、SORA)を紹介してもらいペロ君、マーヤちゃん、レイン君の第2の犬生を託すことにしました。
■3頭を団体が引き取ることに
SORAのスタッフによると、飼い主さんの帯状疱疹による飼育放棄は今回が初めてではないとのこと。過去にも同様の病気を患い、やむを得ず手放さざるを得なくなった2頭の小型犬を引き取ったことがあると言います。「動物を飼う」ということは、「その命を預かり、その一生を最後まで面倒を見続ける」ということです。しかし、このようにどうしてもやむを得ない状況に至ることはないわけではなく、この点スタッフは元飼い主さんと何度もやり取りを重ね、「安易にペットを手放すわけではない」「やむを得ない事情がある」ことを確認し、飼育放棄書にも念入りにサインをしてもらった上で引き取ることにしたと言います。
■これまで以上の幸せな犬生を願って
やり取りの際、飼い主さんはとても辛そうな表情を浮かべていたそうです。そして、別れを察したペロ君、マーヤちゃん、レイン君もまた不安そうにクンクンと鳴き、最後まで飼い主さんを追いかけていたといいます。
想像するだけで辛くなる別れですが、しかし、過去の悲しみを思い続けることでペロ君、マーヤちゃん、レイン君が幸せな第2の犬生をおくれるわけではありません。事実は事実として受け止めながらもスタッフはペロ君、マーヤちゃん、レイン君が新たな幸せをつかめるよう、お世話する決意を胸にしました。
幸いペロ君、マーヤちゃん、レイン君とも性格はいたって良好で人間が大好き。3頭に相応しい里親さんとマッチングできれば、きっと今まで以上の幸せな生活をつかむことができるだろうと、スタッフは確信しています。
悲しい思いを経験したペロ君、マーヤちゃん、レイン君ですが、だからこそこれからの第2の犬生では寂しい思いをすることがいっさいない、幸せいっぱいの生活をおくれることを祈るばかりです。
一般社団法人SORA小さな命を救う会
https://sora-chiisana.org/
(まいどなニュース特約・松田 義人)