飼育放棄された高齢の保護犬は慢性腎不全 「命にもかかわる状態」と獣医師は告げた 「生きたい」という強い思いで辛い治療を耐え抜いた
北海道を拠点に動物の保護活動を行う、認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)。行き場を失ったワンコや、殺処分対象となったワンコを引き取り、新しい飼い主へと譲渡する活動を行う団体です。
しっぽの会では元飼い主の諸事情から、飼育できなくなったワンコも引き取りお世話することもありますが、今回紹介するミックス犬のロクもそのうちの1頭です。推定16歳のシニア犬で、保護当初は慢性腎不全を患っていました。
■保護当初、食欲がなかったロク
しっぽの会でロクを引き取ったところ、食欲がなく、食べても吐き出してしまいました。「これはおかしい」と、スタッフが動物病院に連れていき健康診断をしてもらったところ、腎臓の数値や胃腸の調子がかなり悪く、慢性腎不全という命にもかかわる危険な状態であるという診断を受けました。
すぐに静脈点滴や投薬などをしてもらったことで、幸い命を取り留めることができましたが、この年齢です。今後もまた著しい体調不良が出ないとはいえず、スタッフは慎重にロクのお世話をし続けることにしました。
■治療を重ねた結果、体調が安定するように
こういったスタッフの思いを感じ取ったのか、それともロク自身の「生きたい」という思いの強さからなのか、ロクは肝臓病の療養食も嫌がらず、さらに毎日行う皮下点滴などの際も協力的でいつもジッと我慢しています。
その「たくましさに感心するし、そして、かわいい」とスタッフは言いますが、当のロク自身もスタッフをはじめとした人間が大好きの様子。確かにシニア犬ですし、健康とはいえないものの、冬場の雪道でも軽い足取りで散歩をし、施設に設置されているテラスで遊んで喜んでいる様子も見られました。結果、ロクは日に日に体調が安定するようになり、一時期と比べれば見違えるほど健康なワンコに戻りました。
■ロクはボラさんの家で終生を過ごすことになった
ただし、16歳というシニア犬です。新しい里親さんへの譲渡は現実的には難しく、ロクは今年春からしっぽの会と提携する預かりボランティアさんの家で終生を過ごすことになりました。もちろん、この預かりボランティアさんは多くの犬猫と一緒に生活をしてきた人で、この点からもロクにとって最適の環境だとスタッフは言います。
元飼い主の都合によってしっぽの会に引き取られたロクですが、そこではスタッフ、動物病院の獣医さん、預かりボランティアさんら優しい人たちからの愛情を受け、その命をつなげることができました。まだまだ病気の心配はありますが、これからのロクが、愛情たっぷりの環境で少しでも長く生き続けてくれることを願うばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)