「血が付かないか心配…」生理中の柔道女子選手の悩み、新デザインの道着で解決!黒色ズボンでスタイリッシュに 神戸の女性が開発
柔道の女子選手に、生理中でも安心して競技に取り組んでもらえるようにと、神戸市の信川友日子(ゆかこ)さん(32)が新たなデザインの道着を開発した。血が目立たないようズボンを黒くするなど工夫したほか、従来の道着からの機能性のアップデートも図った。
大学時代まで柔道に打ち込んだ信川さん。引退後はスポーツトレーナーなどの仕事をする傍ら、柔道教室で指導にあたってきた。昨年、柔道の仕事だけで身を立てようと合同会社ジタキョウエイ(神戸市垂水区)を起業。教室での指導や武道にまつわる商品・書籍の企画開発など幅広く手掛けている。
信川さんが「今思い出しても心が痛くなる」経験をしたのは中学生の時。男子選手に混じって柔道の練習していたところ、指導者(男性)に呼び止められ「今日はもう帰りなさい」と唐突に言われた。不思議に思いつつも更衣室で帰り支度をしようとした際、履いていた道着に血がべっとりと付いていることに気付いた。生理になったことに気付かず練習を続けていたのだった。
いつから付いていたんだろう、男子にも見られたかも…。恥ずかしさとショックの入り混じった感情で、血の付いた道着を洗ったことをよく覚えているという。
この話を女子選手にすると、年代を問わず「私も同じような経験をした」という反応が返ってきた。「生理の時に白い道着を着るのは不安」という声が多く、事業として立ち上げて課題解決したいと思った。
メーカーに問い合わせるなどし、従来の道着の構造について研究を重ねた信川さん。開発した「Raff Granique」の道着では、ズボンだけでなく襟や裾など汚れやすい部分も黒くした。さらにウエスト部分にゴムを入れ、紐がほどけてもずれ落ちないように工夫。従来の道着にありがちな横の隙間から下着が見えやすいという問題も解消した。本格的な商品化に向け、準備を進めているという。
一方で指導者の間では、伝統を重んじる観点から「道着は白でないといけない」という考え方が根強いのも現実だ。信川さんは「少しずつ新しい価値観を広げていきたい。男女問わず、さまざまな色の道着を着ることが当たり前の時代になればいいなと思う」と話す。
神戸は、明治時代に柔道を創始した嘉納治五郎の故郷でもある。「嘉納先生は『力の弱い女性にこそ真の柔道が伝わる』として競技普及に努めた」と信川さん。神戸の地からこうした取り組みを広げ、女性が安心して柔道ができる環境をつくっていきたい」と話している。
合同会社ジタキョウエイjitakyoei2525@gmail.com
(まいどなニュース・小森 有喜)