小学生に対するLGBT・性の多様性教育…保護者の9割が「必要」と回答
株式会社CyberOwlが運営する塾や習い事に関する総合情報サイト『テラコヤプラス by Ameba』は、このほど「LGBT・性の多様性教育」に関するアンケート結果を発表しました。同調査によると、LGBT・性の多様性について小学生の子どもから質問をされた経験のある保護者は2割強でした。また、小学生の子どもにも性の多様性教育は必要だと約9割の保護者が回答していたそうです。
調査は、全国の小学生の保護者男女500人を対象として、2023年5月~6月の期間にインターネットで実施されました。
調査によると、「これまでLGBT・性の多様性について学ぶ機会はあった」と答えた保護者は36.2%。「学ぶ機会があった」と答えた保護者に「どのような機会でしたか」と複数回答可で聞いたところ、「テレビで見たり聞いたりした」(31.8%)、「本やインターネット(SNS含む)で調べて学んだ」(26.2%)といった回答が上位を占め、LGBT・性の多様性について社会的に関心が寄せられているものの、保護者世代が学ぶ機会はあまり多くないことがうかがえました。
また、「LGBT・性の多様性についてどの程度理解していると思いますか」と聞いたところ、「どちらかと言えば理解している(なんとなく多様なあり方を受容する)」(55.0%)が最多となった一方、自ら関心をもつようにしているという保護者は、「とても理解している(積極的に関心をもつようにし、多様なあり方を受容する)」(6.4%)と、「理解している(関心をもつようにし、多様なあり方を受容する)」(28.4%)を合わせて34.8%でした。
続いて、「LGBT・性の多様性について小学生の子どもから質問をされた経験はありますか」と聞いたところ、「ある」と答えた保護者は25.8%でした。回答者からは以下のような具体的なコメントが寄せられました。
▽ある芸能人に対して「この人は男なのか?女なのか?」と聞かれたので、「体は男でも、心は女だったり、またその逆もあるんだよ」と説明した(小学6年生の保護者)
▽「男の子同士、女の子同士で結婚できないよね?」と質問を受けた。男の子が男の子を好きになることだってあるし、女の子が女の子を好きなることもある旨をまず伝え、難しいんだけどできないことはないことを伝えた(小学1年生の保護者)
▽テレビで(いわゆる)女の人っぽい恰好をしている男の人を見て「気持ち悪い!」と言っていた。「体と心がバラバラで合わない人もいるんだよ」と伝えた(小学4年生の保護者)
▽LGBTのニュースを見ているときに、「なぜこんなに大きく取り上げられているのか」と質問されたので、「それだけ悩んでいる人が多いからだ」と答えた。また「世の中にはいろいろな人がいるが、自分と違う価値観を持った人たちとも理解し合うことが重要だ」とも伝えた(小学5年生の保護者)
さらに、36.0%の保護者が「自ら子どもにLGBT・性の多様性について話をしたことがある」と回答。「子どもに話をしたことがない理由」としては、「年齢的に理解できない(まだその時期ではない)と思ったから」(39.7%)、「(知識不足で)どのように説明すればいいかわからないから」(37.8%)といった回答が上位に挙げられています。
自ら説明したことのある保護者が3割強に留まった一方で、88.4%の保護者が「小学生の子どもにも性の多様性教育は必要だと思う」(とてもそう思う:30.6%・そう思う:57.8%)と回答しています。
そこで、「どのような教育方法がよいと思いますか」と聞いたところ、「学校での教育を充実させる」(33.8%)が最多となった一方で、「自分自身が知識を深め、子どもに教える」(21.6%)、「家族の会話などで話題を自然に出す」(20.9%)なども挙げられ、保護者も自ら子どもに伝えることが大切だと感じている様子がうかがえました。
なお、「必要だと思う」と答えた保護者からは以下のような声が寄せられています。
▽年齢が低いうちに学んだ方が、偏見などが無く素直に理解しそうだから(小学5年生の保護者)
▽スマホなどで知った情報は間違っていることもあるので、正確な情報を教えてあげるためにもしっかり学んだ方がいいと思う(小学6年生の保護者)
▽自分たちが子どものころは、性教育も性自認や同性同士の交際なども、偏見や恥ずかしいものとしての印象が強く、肝心なところは教えてもらえなかったから (小学5年生の保護者)
他方、「必要だとは思わない」と答えた保護者からは以下のような声が寄せられました。
▽学ぶことで逆に偏見が生まれそうな気がする(小学5年生の保護者)
▽低学年ではまだ早すぎるが、高学年になると自分で調べることができるので、本人から質問を受けたら真摯に相談に乗れるようなスタンスでいいと思う(小学3年生の保護者)
▽関心がない子もいるので、すべてを押し付けて認めてあげようという考えはあまり共感できない(小学6年生の保護者)
最後に、「子どもがLGBT当事者だった場合に理解を示せると思いますか」と聞いたところ、「理解できる」(26.6%)と「すぐには理解できないが、理解できるように努める」(64.6%)を合わせて91.2%の保護者が、「理解したい」と考えていることが分かりました。
そのなかには、「実際に相談を受けた経験がある」という保護者もおり、「長女が『自分は男である』とカミングアウトしてきた」(小学4年生の保護者)、「物心ついたときから、いつも男の子と一緒に遊んでいた。本人は女の子扱いをされるのがとても嫌だったそうで、何度か『なんで自分は男の子と違うのか。男の子になれないのか?』と聞かれた」(小学3年生の保護者)といった声が寄せられていました。
そのほか、LGBT・性の多様性に関しての体験談には、以下のような声が集まりました。
▽昔LGBTに該当する友人がいた。家族の理解が得られずに死んでしまい、周りがもっと理解できれば、普通に生活できる世の中になれば、と常に思っている(小学2年生の保護者)
▽同級生で今思うとLGBTの男の子がいた。当時は理解できる世の中ではなかったので差別用語を言ってしまったことを今でも後悔している(小学5年生の保護者)
▽息子が幼稚園の頃、女の子向けの番組が好きで、そのグッズを欲しがったら、祖父が『男の子らしくないから駄目だ』と反対した。男の子には男の子らしいものをという考えが、性の多様性で悩む人たちを傷つけるのではないかと思う(小学5年生の保護者)
▽学生時代、レズビアンの女の子が同じ部活にいたが当時珍しい存在だったのでその話題を出すときはひそひそといった感じで当事者から見たら噂話をしているように見えたと思う(小学1年生の保護者)
▽同級生にトランスジェンダーの男の子がいた。女の子として接するように努めていたが、心から女性と思って接することができず、卒業してから自然と疎遠になってしまった (小学5年生の保護者)
▽職場にLGBTの子がいたり、メイクが好きな男の子や可愛いものが好きな男の子もいる。昨今、多様性を受容する世の中になり身近にそういった若い子が増えてきたように思う(小学1年生の保護者)
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調査を実施した同サイトは、「2024年度から小学校の保健体育で使われる教科書では、LGBTなど性の多様性について取り上げるケースが大幅に増えたようですが、子どもだけでなく保護者が学ぶ機会が増えることもまた、理解ある世の中を実現する一助になるかも知れません」と述べています。