いとこと再会、祭りで迷子…夏の思い出に大人もキュン 絵本「なつやすみ」圧巻は長さ95cm、観音開きの屋台シーン
子どもたちの夏休みの1日を、画家の麻生知子さんが描いたらーー。
絵本「なつやすみ」は、主人公こうたくんの家にいとこの家族が泊まりにやってくるシーンから始まります。
親戚が集まるのは久しぶり。おばあちゃんもお父さんもお母さんも、ネコのクロも家の前でお出迎え。いとこのゆうこちゃん、としのぶくんはこうたくんに駆け寄ります。
テーブル2つを並べてお昼ごはん。おばあちゃんが作ってくれた、そうめんと天ぷら、海苔巻きをみんなでいただきます。「そうめん、まだあるからねー」「トウモロコシもうまいよ」
夜は浴衣に着替えて、近所の神社のお祭りへ。ここで事件が起こります。金魚すくいに夢中だったこうたくんがはぐれてしまったのです。「あれ、みんな、どこ?」。こうたくんは無事に家族と会えるのでしょうか。
■圧巻は長さ約95センチ、観音開きのページ
作者の麻生さん自身の幼いころの記憶や、お子さんとの暮らしをヒントに生まれた1冊。ていねいで温かみのあるタッチは郷愁を誘い、大人が読んでも胸に響きます。
圧巻は左右に広げると長さ約95センチにもなる観音開きのページ。かき氷やりんご飴、ヨーヨー釣りなど、お祭りではおなじみの屋台50軒以上がずらりと並びます。上下左右、どの方向から覗き込んでも楽しめるユニークな構図。子どもたちと一緒に読むときは、長いページをぐるりと囲んで、夜店歩きを疑似体験してみては。
福音館書店。2023年6月10日初版。26×26cm。32ページ。1650円(税込)
▽麻生知子(あそうともこ)さん…1982年埼玉県生まれ。2006年ごろから油絵を始める。2008年から、友人の画家、武内明子さんとともに、日本全国を旅しながら展覧会を開催する活動「ワタリドリ計画」もスタート。前作「こたつ」(福音館書店)は第14回ようちえん絵本大賞受賞。神奈川県藤沢市在住。
(まいどなニュース・金井 かおる)