なにこれ?生きているの!?…「笑っちゃうくらいエメラルドグリーン」「寿司ネタにはならない?」

 輝くネオンサインのように鮮やかな色をしたシャコの幼体の写真がTwitterで注目を集めました。ある種、人工的な美しさを感じさせる姿ですが、実は沖縄の磯に生息する天然の生物なんです!

 「日本の海にはいろんな生物がいます。こちらは笑っちゃうくらいエメラルドグリーンなシャコ。」というひと言とともに画像を投稿したのは、でんか(@K_theHermit)さん。でんかさんは、海洋生物の研究を行うかたわら、海中の様々な生物を採集・水中撮影しており、日本国内の温暖な浅海に生息するヤドカリを撮影した写真集「ヤドカリのグラビア」が現在発売中です。

「神秘的すぎます♪」

「スゴっ!!蛍光グリーン」

「昔こんな感じの暗いところで光る昆虫のオモチャ持ってたな…」

 など多くの人がこの写真に魅了されました。投稿した、でんかさんにこの生物を見つけた時のことをお聞きしました。

■沖縄県の磯で発見 「実物はより美しかったです」

--発見した時のことを教えてください。

沖縄県の磯で発見・観察しました。シャコの仲間は磯や砂地の穴に生息していることが多いのですが、たまに穴からでていることがあるのでそのタイミングで採集しました。また、私はこのシャコはフトユビシャコモドキだと思っていたのですが、シャコの分類研究をしている大学時代の後輩によると「コトゲフトユビシャコ」だそうです。

--幼体を初めて見た時の感想は?

幼体は5cm程でした。写真のように透明感のある緑色で、実物はより美しかったです。

■捕まえるのは意外と簡単 ただし素手で触ると危険、観察の際には手袋必須

--捕まえるのは難しかったですか?

個体数は少なくないので、穴から出ている個体を狙うと意外と簡単に捕まえられます。

--シャコは強烈なパンチで貝の殻なども割ってしまうこともあるそうですが。

シャコパンチは特にモンハナシャコ等が水槽のガラスを割るということで有名ですね。シャコパンチは何度もくらっているのですが、今のところ特に問題はないです。今回観察に使った透明ケースも無事でした。

--そうだったのですね。

ただし、(シャコパンチは)個人の責任でくらってください。爪など硬い部分に当たると危ないかもしれません。シャコパンチもそうですが、シャコは尾の方が鋭いので素手で触ると危険です。沖縄の磯の生物は有毒生物も少なくないため、観察の際には手袋が必須です。沖縄の磯を歩いていると、そこら辺からシャコ類のパンチ音や、テッポウエビのキャビテーション音(※テッポウエビが自身の2枚のハサミを噛みあわせる際に出るプラズマ衝撃波から生じる音)がカチカチパチパチ聞こえてきておもしろいですよ。

--幼体はこの後、どうしましたか?

観察後は海に返しました。以前、モンハナシャコを飼育していておもしろかったため、モンハナシャコだったら持ち帰って飼育していたと思います。モンハナシャコの繁殖生態に興味があります。

--美しい姿に反響がありました。

やはりカラフルな生物は多くの人の目を引くのだと思いました。メロンソーダなど食べ物を多く連想される人が多い中で、カマキリのようだとコメントする方もいて「おっ」と思いました。シャコは英語でmantis shrimp(※「mantis」は「カマキリ」の意味)と呼ばれています。また、これは保護色なのかという疑問や、葉緑体を取り込んでいそうなど「きれい」で終わらず、シャコ自体に関してより深く興味を持ってくれる方がたくさんいて嬉しかったです。

■今後はどんな海の生物を撮影したい?

 海の生物のどのようなところに魅力を感じますか、とたずねると「意外な一面があるところです。例えば、ヤドカリでしたら、意外とカラフルだったり、よく見ると不思議な形をしていたり、世界中にたくさんの種がいたりします」というでんかさん。

 さらに「採集できる大きさの生物が好きですので、今後も比較的小さな生物を対象に活動したいと思っています。今はヤドカリをメインに活動していますが、思わぬ出会いからのめり込んでしまうようなおもしろい生物も出てくるかもしれません。そのような出会いに期待しつつ、顕微鏡レベルのミクロな撮影も興味があるので挑戦していきたいと思ってます。海の生物は幼生の頃と成体とでは大きく見た目が変わることが多いため、ウミウシ、貝、エビ、ウニなど身近な生物の幼生も観察・撮影したいと思ってます」とでんかさんは今後の抱負を語っています。

(まいどなニュース特約・山本 明)

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