畑で見かけた野良猫一家 家族に迎えた発育不良の子猫はぽっちゃり甘えん坊に 「こちらも元気をもらっています」
■野良猫一家、家猫化計画
モツちゃん(1歳1カ月・メス)は2022年7月20日に保護された。
静岡県在住のOさんは、2022年7月初旬に実家の畑で母猫と前年秋に生まれた子、モツちゃん含む姉妹の子猫3匹、合計5匹の猫を発見した。その後、一家丸ごと家猫化計画を練り始め、餌付け始めたという。
姉妹猫2匹は健康状態も良さそうだったが、モツちゃんは毛足が長いこともあり、身体中汚れてぐちゃぐちゃだった。
「風邪もひいていて目やにや鼻水もひどく、なんとかヨロヨロと母猫の後をついていくので精一杯という感じでした。一刻も早くこの子猫を保護して、適切な治療をしなければと思っていました」
■捕獲作戦決行
敷地内に住む祖母から、「子猫たちが庭でごはんを食べている」と連絡が入ったので様子を見に行くと、子猫3匹のうち2匹はこちらに気づかず食事をしていた。
「手を伸ばせば捕まえられそうな距離だったので捕獲しようとしたのですが、モツはその少し前にごはんを食べ終えて母猫の元へ帰ってしまいました」
姉妹猫は必死で食べていたので、Oさんは迷った末、まずはその子猫たちを捕獲した。その時、姉妹猫が暴れたのでOさんは怪我をしたという。
「その1週間後に再度モツの捕獲を試みました。前週に負傷したため、革手袋をして厳重に捕獲に踏み切ったのですが、モツは全く抵抗せず、すんなり捕獲することができました」
1週間前に捕獲した姉妹猫に比べてモツちゃんは小さく、体重は半分の700g。ガリガリに痩せて子猫らしい活動的なところは全くなかった。
「毛足が長いこともありノミの寄生が著しかったため、動物病院へ行ってノミの駆虫薬を滴下するも落ち切らず、仕事から帰ったら夜な夜なシャンプーをして、弱ったノミを捕殺する日々が3日ほど続きました」
くしゃみや鼻水鼻詰まりの風邪症状はひどいものの食欲もあり、ノミが落ち切ってからは日に日に活発に動くようになってきた。ノミに吸血されていた時は、貧血気味だったのだ。
■発育不良の小さな子猫
Oさんは、子猫3匹を保護したら新しい家族を探して譲渡するつもりだった。しかし、モツちゃんは姉妹猫に比べて明らかに発育不良だった。健康にいくつか不安があったため、Oさんは責任を持って迎え入れることにしたという。
モツちゃんは、人に対して怯えることも全くなく、ぼーっとしていた。貧血と、風邪症状からくるものだったのかもしれない。
モツちゃん保護の前週に姉妹猫を保護した際、ノミの寄生があったので仮名としてノミを逆から読んで「ミノ」と名付けた。モツちゃんはその姉妹猫なので、「モツ」という名前になったという。当初は仮名のつもりで安易に考えたが、結局愛着が湧いてしまいそのまま名前になった。
■おてんば娘に元気をもらう
モツちゃんは、コードをまとめるネジネジを見つけるとくわえて持ってくる。投げてもらえないことが分かると水の器の近くに持っていき、水の中に落として手で出してを繰り返す。そのため床が水浸しで悲惨なことになる。
食べることも大好きで、1歳を過ぎてもいまだに食欲旺盛。引き出しを勝手に開けてフードが入っている袋をびりびりに破いて床中に散乱させたり、先輩猫のフードを横取りしに行ったりする。
「フードをしまう引き出しにはベビーガードが必須です。食事も、モツはケージで食べさせて先輩猫が食べ終わったらフリーにする等工夫しています。ぽっちゃりしてきたので少しごはんを減らさないとなぁと考え中です」
もともと猫2匹と暮らしていたOさんだが、モツちゃんほどの破天荒なおてんば娘は初めて。引き出しを開けられないようにしたり、ゴミ箱を漁られないようにしたり、日々モツちゃんのいたずらの対処に追われている。
「毎日元気すぎるほど元気で甘えっ子のモツには、こちらも元気をもらっています」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)