中小企業596社の現在の取引先国 中国が5割強→「今後重視する国は?」 ベトナムなどASEAN諸国に注目
大阪信用金庫(大阪市天王寺区)は、このほど「中小企業の海外進出に対する調査」の結果を発表しました。同調査によると、海外取引において今後、重視する国として「ベトナム」などASEAN諸国に注目が集まっていることが分かりました。また、海外人材の採用でも「ベトナム」が最多となっていたそうです。
調査は2023年6月上旬、全国596社を対象に調査票の郵送・ウェブにて実施され、回答率は35.6%でした。
まず、「海外取引で重視する項目」を聞いたところ、「政治や経済の状況」(52.3%)が最多となったほか、「現地の商習慣や市場性」(35.2%)、「物流・通関業務」(25.0%)、「現地での想定顧客や協力企業」(23.0%)などが挙げられました。
続いて、「現在の貿易国」を聞いたところ、トップは「中国」で53.5%。次いで、「台湾」(22.4%)、「米国」(21.8%)、「韓国」(14.1%)とアジア地域が多くなっているなか、米国以外では「カナダ」(2.4%)も挙げられています。
なお、中国はゼロコロナ禍での物流混乱や生産国から消費国へ移行していることなど不安要素もあり、今後の対応策を模索する声も聞かれました。
他方、「今後、貿易取引において重視する国」では、1位「中国」(36.5%)、2位「米国」(24.7%)、3位「ベトナム」(19.6%)という結果になりました。
なお、「現在の貿易国」の割合と比較すると、1位の中国が17.1pt減だったのに対して、3位のベトナムが7.3pt増となっているほか、ASEAN諸国が浮上しており、中小企業経営者の関心がアジア地域での第三国へ変化していることがうかがえます。落ち着かない世界情勢を不安視する声も消えないなか、安定した取引を模索する動きが活発化する可能性もあるといいます。
また、「海外人材の採用」については、「ベトナム」(45.8%)と「中国」(40.6%)で8割以上を占めたほか、「韓国」(10.4%)、「フィリピン」「ミャンマー」(いずれも7.3%)が続く形となっています。
なお、外国人材を「採用・増員したい」は8.2%と1割未満であるものの、「今後の従業員確保の状況を見て判断」では27.2%と、先行きの動向次第で検討する企業もあり、人材確保の選択肢として定着していることが見て取れました。