「相手の過ちを必要以上に追及した瞬間、不幸が始まる」 ryuchellさん死去報道を受け、大阪の僧侶が”名言”を投稿 共感の声広がる
タレントのryuchell(りゅうちぇる)さんが27歳の若さで亡くなったという報道を受けて、12日夜にネコ坊主さん(@yabumoto610)がTwitterに投稿したとある”名言”に「そう思う」との共感の声が広がっています。
ネコ坊主さんこと、大阪・専念寺の住職・籔本正啓さんは毎日仏教の教えに基づいた”言葉”や”名言”などをSNSに投稿し、いつも「救われる」「心に染みる」と話題になっているTwitterユーザー。今回、ryuchellさんの一連の報道に心を痛め、とっさに思い付いたある言葉をツイートしたそうです。
その言葉というのは、「相手の過ちを必要以上に追及した瞬間、不幸が始まります」。潜在意識やイメージの重要性に着目した、成功哲学「マーフィーの成功法則」で知られる、宗教家で著述家のジョセフ・マーフィー氏の名言です。
「相手の過ちを必要以上に追及すれば、相手との人間関係は完全に壊れ、結局自分にとっても不幸なことになる」という意味ですが…この名言の投稿とともに籔本さんは、追及した側、つまり誹謗中傷をした側に対して「何回、人は繰り返すんでしょうか?」とつぶやきました。
さらに「過ちは誤ちとは違います。その人が思う後悔をさしています。誰しも後悔や懺悔はあります。それを理由も分からずに必要以上にその人を追い詰めることは追い詰めれた方も追い詰める方も不幸が始まるということです。これ以上この事で不幸になる人が一人でも少なくなるようお祈りいたします」と、訴えます。
■「相手の罵声や言葉を浴びせられても受け取らなければ相手に戻る」 誹謗中傷を受けたら、ブロックを!
今回ryuchellさんの自殺報道を受けて投稿したのは「このような形でryuchellさんがお亡くなりになり残念です。しかしそれと同時に誰が書き込んだのか、ryuchellさんの生い立ちや家族のことがいろいろTwitterに流れてまた誰かが誰かを追い込むことに不安を覚えました。すべての人に伝わるとは思いませんが、誰か一人でも気付いて欲しいととっさにツイートしたんです」と籔本さん。
そこで、マーフィー氏の名言を用いたことについて「過ちは私が考えるに誰しもがするものです。日本は法治国家なので法律に触れる悪については国家が裁くものだと思いますが、そうでない限り人が勝手に善悪を決めそして人を悪だと決めつける事は絶対にしてはいけません。私たち僧侶は『懺悔文(さんげもん)』『我昔所造諸悪業(がしゃくしょぞうしょあくごう)』…といったお経を何遍も唱えることがあるのですが、それは人のことの過ちを問うよりも自分の過ちを問えという仏教の教えです。過ちをネガティブに捉えるのではなくてしっかり自分を見つめて次に生かすことだと思っています」と話します。
一方、SNS上の誹謗中傷を受けて自死する人が後を絶ないことを悔やむ籔本さん。そして誹謗中傷をする人やそれを受ける人たちに対して、こう訴えます。
「匿名性があるのでどうしても何となく他人のことをあれこれ書いてしまうのだと思います。私も書かれてしまいます。お釈迦様の有名な話にも相手の罵声や言葉を浴びせられても受け取らなければ相手に戻ると教えてくださっています。だからTwitterの場合、おかしいなと思ったらすぐにブロックやミュートにする事は必要です。これは早い方がいいんです。放っておくとこれは増殖します。またそれをつぶやいている人はその言葉で生命を失う人がいる。泣いてる人がいるいうことを想像してみてください。発信する前に5秒待って一度自分の投稿を見てその言葉に心を添えられているかを確認してほしいです。発信する言葉はあなたの心を形成してしまいます」
また以前投稿した籔本さんの言葉を目にした女性が自殺を思い止まったとメッセージを送ってくれたと言います。
「『言いたい奴は言わせとけ。100年経ったらみんな死ぬ』というネコが少しベロを出した画像をTikTokに投稿したところ女子高生と思われる女性から『今日思っていましたがあなたの投稿を見て今日はやめときます』とのメッセージがきたんです。私も一つしかない体なので、大事な生命が今消えそうになっている人、たくさんの人に寄り添うことは絶対できません。しかしSNSで言葉を投稿して誰か一人でも気づき、そして自分の行いを見つめてもらえると僧侶として大変うれしく思います。私自身も皆さんと同様にいろんな実社会で悩むこともありますが、その悩みも仏様からの宿題だと思って日々取り組んでいます」
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投稿には共感する声やryuchellさんのご冥福を祈るコメントが多数寄せられました。
「文字であれ口から出た言葉であれ…魂、心が宿っているものだと思います…だから…匿名を利用して悪口や相手が明らかに傷付くであろう言葉を用いるのは…卑怯極まりなく言論の自由とかを都合良く解釈して利用して挙げ句の果てに人の命を奪う行為って犯罪って思います」
「ryuchellさん、ほんとに辛かったでしょうに、、、もう二度と誰一人、自ら命を絶ってはいけないです。安らかに、お休みください。ご冥福をお祈りします」
「全くです!やられた事無いと痛みわからないんでしょうかね!!」
「本当に言葉と言うのは人を傷つけるものでもあり人を救うものでもありますね…」
不安や悩みの主な相談窓口は「日本いのちの電話」
ナビダイヤル「0570・783・556」(午前10時~午後10時)
フリーダイヤル「0120・783・556」(午後4時~9時、毎月10日は午前8時~11日午前8時)など。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)