空腹時には見ないで? 究極の飯テロ本 世界中の屋台・スタンド料理を一覧できるグルメ&旅行本が旅情をそそる

コロナ禍が緩和され、海外旅行の需要が再び高まりつつあります。「地元の人に混ざって現地のグルメを楽しむこと」は旅の醍醐味の一つで、中には「食べたいグルメ」から旅行先を選ぶ人もいるほど。そんな中、世界の街角グルメばかりをビジュアルで集めた本が登場しました。「世界の街角グルメ」(島本美由紀・文、パイ インターナショナル)です。

アジアの活気ある屋台料理、ヨーロッパの街角にあるスタンドグルメ、アメリカのファストフードなどが約50カ国127種類も収録されたもので、ページをめくるたびに今すぐ旅立ちたい!という衝動にかられます。

「よくこれだけの街角グルメの写真を集めたな」と感心するばかり。その中からいくつか珍しい料理をご紹介しましょう。

■カオラウ(ベトナム料理)

カオラウとはベトナム中部・ホイアンの名物麺料理。ホイアンエリアの石灰分の多い井戸水で作られる麺は、太くコシがあるのが特徴です。醤油ベースの甘いタレにからませていただく、いわゆる「汁なし麺」で、シャキシャキの野菜とパリパリとした煎餅がアクセント。地元の人の朝ごはんの定番で、早朝にホイアンの街を歩いているとノンラー(すげ苙) をかぶった女性が、天秤を肩に担いで売り歩く姿が見られます。客が来たところで荷物を広げ、鮮やかな手さばきで作ってくれます。

■コットゥ(スリランカ料理)

スリランカの街を歩いていると、屋台や食堂の店先から「コット、コット、コット」と金属を叩き合うようなリズミカルな音が聞こえてきます。この音が名前の由来となったコットゥという街角グルメは、鉄板の上で幅の広い包丁を使って、ロティ (小麦粉で作ったクレープに似た薄い生地のパン)を細かく刻み、肉、野菜、卵、スパイスなどと合わせ、香ばしく炒めたもの。豊富な具材と、複雑なスパイスの味が口いっぱいに広がります。

■クンピル(トルコ料理)

トルコの首都・イスタンブールで人気の、ボリューム満点の屋台飯クンピルは、オーブンで蒸し焼きにした大きなじゃがいもの切れ目に、たっぷりのバターとチーズを入れて混ぜ、様々なトッピングをてんこ盛りにしたもの。言わば「トルコ風ベイクドポテト」というべき街角グルメで、ハムやコーン、チーズやオリーブ、クスクス、ヨーグルトなど、トッピングもバラエティ豊かです。仕上げにマヨネーズやトマトケチャップをかけていただくことが多いですが、自分で好きなものを組み合わせて、オリジナルの味を楽しむこともできます。

■フィリーチーズステーキサンドイッチ(アメリカ)

アメリカ・ペンシルベニア州に根付く名物サンド・フィリーチーズステーキサンドウィッチ。炒めた薄切りの牛肉と飴色の玉ねぎ、チーズを細長いロールパンに挟んだもの。「フィリー」はペンシルベニア州にあるフィラデルフィアの愛称で、この町で暮らしていたオリヴィエリ兄弟が1930年代にホットドッグスタンドで売りはじめたのが発祥といわれています。今では屋台やレストランのほか、野球場でも売られる人気のファストフード。マッシュルームやピーマンを使ったものもあります。

■担当編集者をも苦しめた「究極の飯テロ」本

特に珍しい街角グルメをピックアップしましたが、各国の定番グルメも数多く収録され、中には日本で購入できる食材を使ってのレシピもあります。このビジュアルを見ながら、お目当ての外国を頭に浮かべて自分で作ってみるなんていうのも楽しそうです。担当編集者によれば、本書の編集中は、「お腹が空いて辛かった」とも言います。

「本書はコロナ禍の影響で、テレビやSNSで『世界の料理』を目にする機会が増えたことから、現地の雰囲気も感じながら知ることができる本を作りたいと思って取り組みました。収録する料理を選んだ基準は『ファットで、ファストで、チープ』であること。高級なレストランでかしこまって食べる料理も魅力的ですが、本書では地元の人に混じって食べられるような気軽なグルメばかりを集めています。なかには、まるで『カロリーの爆弾』のような罪深い料理もあって、味を想像しながら写真を探すのは楽しい作業でした(お腹が空いて、つらいときもありました……)。

また、おいしそうな食べものの写真はもちろんですが、屋台やレストラン、マーケットなどの写真を豊富に入れて、旅情をそそられるように意識して構成しました。眺めているだけでお腹が空くような、まさに『究極の飯テロ』をめざして制作しました。海外旅行にいきやすくなってきたいま、つぎの旅行先を見つけるヒントとして、また旅のお供として、手に取っていただけたら幸いです。簡単に作れるレシピもついているので、おうちで現地の味をぜひ再現してみてください」(担当編集者)

担当編集者を大いに苦しめた「究極の飯テロ」本。体が心が異国の街角の味を欲した際、手に取ってほしい一冊です。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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