「余命1週間だから」とタダでもらった高級金魚…病気を治そうとお世話する飼い主の「懸命な姿」に感動 金魚の命は?

「余命1週間だから」と観賞魚ショップから無料で譲ってもらった高級金魚の病気を治そうと懸命にお世話をする飼い主の動画に「感動した」と心打たれる人たちが続出し、YouTubeで話題になりました。既に再生回数は290万回を超えています。

動画を公開したのは、韓国に住む日本人女性のえみこさん。自宅で飼育している熱帯魚や金魚などをYouTubeで紹介しています。今回新しい金魚をお迎えしようと、近所の観賞魚ショップに来店。店内に入ると、正面の水槽に1匹の金魚が沈んでいたといいます。

「お店に入ってすぐ目に入ってきたのは、真っ白な金魚。黒い砂利の上に泳ぐことなく沈んでいたんです。私が近付くとはって近付いてきました。一目ぼれでした。でも2万5千円相当のホワイトローズテイルという高級魚。もう泳げない金魚を買うのはさすがにできないなと思っていたのですが…こんなにかわいいのに、病気のようで何とか治せないものなのかと、店長さんと話していたら、『この子は病気がひどいのであと1週間くらいで…たぶんダメだと思います』と聞きました。そのことを知って心を痛めていた私に『どうしても気になるのでしたらタダで、いいです』と言ってくれたんです」

■余命1週間と宣告された金魚は、松ぼっくりのようにうろこが逆立つ「松かさ病」だった

1週間と余命宣告された金魚。尾の付け根の部分がえぐり取られたようになっており、肉と骨がむき出しになっているようだったとのこと。さらに尾びれの先端からも出血し、尾びれ全体が充血している状態だったそうです。

「骨が見えるような傷は見たことがなかったので、おそらく泳げないのもそこから細菌感染を起こしているんだろうなと思いました。人間でいう敗血症みたいな感じです。おうちにお迎えしたら、数日中には朝起きたら横になって沈んでいる姿を目の当たりにするだろうと、私も正直助かる見込みは少ないと思っていました」

とはいえ、えみこさんは金魚のためにできる限り環境を整えながら治療をしてあげようと、おうちにお迎えすることに。金魚を「雪」ちゃんと名付けました。

「まず傷口が痛そうだったので、刺激の少ない塩水(生理食塩水)を作り、メラフィックスという治療薬を混ぜて入れました。メラフィックスは何度も、けがをした金魚に使ったことのある薬です。傷口を保護してくれる『ばんそうこう』のような役割をもった薬なので、痛くないように入れてあげました」

また雪ちゃんは、松ぼっくりのようにうろこが逆立つ「松かさ病」にかかっていました。症状が進行すると治すことのできない不治の病としても知られる金魚にとって怖い病気だとか。

「松かさ病はエロモナス菌という水中を漂う細菌が魚の体内に感染したときに起こります。エロモナス菌は水の中に普通にいる菌なので、元気な金魚であれば感染することなく一緒に水中で暮らしていけるのですが、体力の落ちた金魚には感染します。うろこが逆立つ症状が現れるのですが、これを治せる確率はとても低いのです。

ただ韓国では最近松かさ病は抗生物質の内服で治せるらしく…そのことをYouTubeでアップしたところ、日本の方からもたくさんコメントをもらって、同じく抗生物質の内服で治したことがあるという方がたくさんいらっしゃって驚きました。韓国では水産疾病管理員という資格を持った魚の先生にお会いすれば処方してもらえると聞いて、魚用の抗生物質を手に入れたんです。過去にも松かさ病になった金魚に使いました」

■魚用の抗生物質を飲ませることに だがその「薬餌」をなかなか食べなかった

雪ちゃんにも、魚用の抗生物質を飲ませることに。しかし、えみこさんは薬液に餌を浸し乾かした薬餌(やくじ)を水槽に入れてみたものの…雪ちゃんはなかなか食べてくれませんでした。

「基本的に弱った金魚は餌を食べなくなります。呼吸をすることや姿勢を保つことが精いっぱいだったりするからだと思います。雪ちゃんも、姿勢を保って沈んでいるのが精いっぱい。食事をとるということにまで手が出せないくらい弱っていたのだと…」

このまま食べないと松かさ病の症状が進み、雪ちゃんはこのまま死んでしまうかもしれない…と心配していたというえみこさん。でも諦めませんでした。お迎えして6日目、外出して夕方に帰宅後のこと。室内の気温が高くなっていたせいか、元気に泳いでいたという雪ちゃん。ついに餌を食べてくれたのです。

「水温も高くなって雪ちゃんの動きが良くなっていたようです。今しかないと思い、新たな薬餌を作りました。1日目の餌は見向きもしていなかったので、また嫌がったらこのタイミングを逃すんじゃないかと思い、全く新しいものを作って試してみたんです。おそらく水温が上がっていたから腸の動きが良くなり、また私があまりにしつこくしたこともあって、諦めて食べてくれたような気がします」

■余命宣告された1週間が過ぎた10日目 奇跡が起きた!?

そして…10日目、薬が効いて松かさ病は治り、元気に泳ぐようになった雪ちゃん。余命宣告の1週間を超えることができたといいます。

「余命1週間を超えられたことは本当にうれしかったです!ただ尾びれのボロボロもそうですし、尾の付け根のけがや水泡も治っていないので、完全に治すにはまだまだ時間がかかるなと思いました」

余命宣告の1週間を超えて薬浴治療を行うなど、今も頑張って生きているという雪ちゃん。これからもYouTubeチャンネル「えみこのおうち」で順次経過を公開していくそうです。

えみこさんの動画には、弱っていた金魚の雪ちゃんを懸命にお世話をするえみこさんや、頑張る雪ちゃんに感動し、応援するコメントが多数寄せられています。

「お魚さんのためにこんなに優しくできるの素敵すぎる」

「こんな金魚に詳しい人に引き取ってもらえてこの子も幸運だ…、元気になってくれると嬉しい」

「病気を真剣に治そうと努力していられるのを見て感動しました」

「金魚の可愛さと主様の懸命な姿に感動しました。元気になってほしい」

「育てる知識も覚悟も思いやりもある 尊敬します」

   ◇   ◇

えみこさんは、2009年オーストラリアで過ごし、そこで出会った韓国人の旦那さんと結婚。2011年から韓国に住んでいます。7年ほど前から熱帯魚飼育を始め、3年前から金魚飼育にハマったとか。今は旦那さんと息子さん、娘さんたちとともに、観賞魚飼育を楽しんでいるとのこと。

YouTubeを始めたのは「子どもたちと一緒に見れる観賞魚のYouTubeチャンネルを作りたくて始めました」とえみこさん。さらに「韓国に住んでコロナ禍で3年間日本に帰れなくなり日本が恋しいなと思っていたところにYouTubeを始めたおかげで、日本人の方々ともつながりができてうれしいです」と話してくれました。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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