修験者たちの空腹を満たした伝統「行者弁当」…「観光客はなかなか食べられない」意外すぎるその中身

奈良県天川村に伝わる伝統的な弁当がTwitter上で大きな注目を集めている。

「これは行者弁当と言います 修験者が大峰山へ修行に行く際に持っていく伝統的なお弁当です もちろん精進料理なので肉は入ってません 昔は竹の皮で包んでましたが今は紙製品に変わってます 一般の観光客は中々食べることのできない特別な弁当です ※大体どこの旅館でも言えば作ってくれます(別料金)」

と件の弁当を紹介したのは天川村に関する情報を発信する個人アカウント「天川村の裏」(@uratenkawa_byB)。

天川村と言えば7世紀に役行者(えんのぎょうじゃ)が開いた大峯山はじめさまざまな霊山のある修験道の本場。

「天川村の裏」が写真で紹介したのは、言われなければわからないほど素朴でありふれたおむすびだが、これが長きにわたって修験者たちの空腹を満たしていた弁当と思うとたいへん興味深い。

■投稿者に聞いた

「天川村の裏」の運営者に話を聞いた。

ーー行者弁当は天川村の方たちにとって身近なものなのでしょうか?

運営者:天川村は修験道発祥の地と言われており、長年、霊峰大峯山を守ってきました。その歴史の中で、洞川区は修行される山伏又は行者さんをおもてなしする宿場町として生活を送っていました。その為、お宿が山伏に持たせるお弁当として行者弁当が昔から作られています。

行者さんに限らず、山仕事をされる方も行者弁当を持つことがあり、住人にとってもかなり身近なものだったと思います。現代ではあまり食べる機会は少なくなりましたが、たまに作ったり旅館から頂くと懐かしさを感じるので、機会は少なくとも文化としてきちんと根付いているのだと思います

ーー行者弁当には作り方のルールのようなものがあるのでしょうか?

運営者:作り方にルールはございません。ツイートには精進料理と書きましたが、ほぐした鯖、貝の煮付け、めはり寿司など各旅館、各家庭で内容はさまざまです。昔は竹の皮で包んでましたが、今では仕入れが困難価格の高騰により紙製の包装材やパックに入れるところもございます。

ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。

運営者:正直「たかだかおにぎり弁当でこんなに反響!」と驚きました。コメントの大多数が「子供の頃親に連れられ大峯山に登り食べたことがある」「祖父や父親から聞いたことがある」など、多くの方が懐かしい思い出を持っておられる事に感動しました。今回は「行者弁当」というただのおにぎり弁当が注目されたというより「大峯山」「修行」「家族」といったご縁が反響の要因だと感じております。1300年という長い年月、修験者を支えてきた村のいち住民として大変誇りに感じる出来事だと思っております。

◇ ◇

行者弁当は村内の飲食店や宿泊施設で購入できる。読者のみなさんも天川村を訪れた際はぜひ一度、お試しいただきたい。

なお今回の話題を提供してくれた「天川村の裏」は毎週土曜日 深夜12時から「真夜中の天川裏ラジオ」をTwitterのスペースで放送している。ご興味ある方は是非チェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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