ショーケースの向こうにいるのは…人間と同じ大きさの猫!? 「アルバイト猫」が接客するプリン専門店が話題 ただいま全国巡回中

店舗をもたず、百貨店やショッピングモールからお呼びがかかれば、全国へ出かけていって出店するプリン専門店「坂の上の猫」。代表取締役の源田晃一さんと一緒にショーケースの向こうにいるのは、なんと人間と同じ大きさの猫。源田さん曰く、雑種のアルバイト猫ミクちゃん、2歳だとか。人間の言葉を話し、接客もこなす美人猫さんだ。

■茶碗蒸しをヒントにプリンをつくってみたら…

奈良県のとある百貨店の地下1階、いわゆるデパ地下の一角にプリン専門店「坂の上の猫」が出店していた。固定の店舗をもたず、出店の依頼を受けた百貨店やショッピングモールで販売するスタイルをとっているという。

代表取締役の源田晃一さんは、もともと愛媛県松山市で日本料理店を営んでいた。

「18歳からずっと日本料理をやっていまして、2017年に創作日本料理を出す店を開いたんです」

その店名が「坂の上の猫」だった。

「愛媛とか松山とか道後というワードを使わずに、松山をイメージしてほしいと思ったんですよ」

日露戦争で名をはせた秋山好古・真之兄弟の故郷であることは、司馬遼太郎の長編小説「坂の上の雲」で有名だし、店の近くには「坂の上の雲ミュージアム」があった。そして源田さんは猫好きということで、松山と猫好きの両方を同時にイメージできる店名だ。

日本料理店から、どのような経緯でプリン専門店になったのだろうか。

「お店をやっていたとき、デザートにプリンをつくったんです。それまでプリンをつくったことがなかったので、茶わん蒸しを参考にしました。どちらも卵を使います。出汁を牛乳に替えて、みりんをグラニュー糖に替えてみました」

独自のレシピでつくったプリンは、お客さんから「おいしい」と評判になり、テイクアウトするお客さんもいたという。

「そのような経緯でプリンを販売するに至るのですが、そんな矢先にコロナ禍です。思い切って店は閉めて、プリンだけにシフトしたのが2020年の1月でした」

■アルバイトの雑種猫ミクちゃん

ショーケースの中には、種類の異なるプリンがズラリと並べられていて、取材の最中もひっきりなしにお客さんが訪れていた。

おいしそうなプリンはもちろん、お客さんの目を引き付けているのが、接客のアルバイト猫ミクちゃん(2歳)だ。

「誰が入っているの?」「暑くないの?」と、野暮なことは聞かない。あくまで雑種の猫2歳、アルバイトのミクちゃんなのだ。

「キャラクターとか看板ではなく、この子は働いています」

出張販売を始めた初めの頃は、ミクちゃんが店頭に立つことを出店先から断られたという。

「着ぐるみの接客は、前例がないということでした」

それでも「一度やらせてください」と粘り強く交渉した結果、ミクちゃんが店頭に立つことができた。

ミクちゃんが店頭に立ち始める前と後では、やはりお客さんの動きに変化があったそうだ。

「今回は奈良で出店していますが、滋賀、大阪、三重、それから名古屋からも、ミクちゃんに会うために来てくださるお客さんがおられます。ミクちゃんのファンの方ですよね」

余談ながら、プリンを買うと別添で魚の形をした容器がついてくる。どう見ても、弁当についてくる醤油入れだが、中身はシロップだそうだ。

「本当に醤油と間違えて、お寿司にこれ(シロップ)をつけちゃったお客さんもいます(笑)」

■YouTubeの収益と店の売り上げの一部を保護猫のために

源田さんは猫が好きで、自宅には5匹の保護猫が一緒に暮らしているという。トンネルの中で拾った子、保健所から連れて帰った子、知人の家で生まれて引き取った子など、境遇は様々だ。

「せっかく生まれてきた命だから生かしてあげたいし、殺処分もゼロにしたい」

避妊手術を受けさせたり、餌を食べさせたり、自分の家の子だけでなくよその保護猫のためにも、できることをしたい。そんな想いをもって、売り上げの一部を保護猫のために割いているそうだ。

「YouTubeの収益も、たとえ猫1匹の1食分でも、無いよりあったほうがいい。分かっていただける方は、YouTubeチャンネルに登録していただくだけで、保護猫が1匹でも多く助かればいいと思っています」

YouTubeチャンネルでは、ミクちゃんが全国の出店先で頑張っている姿が見られる。出店のスケジュールはTwitterで発信されているので、ミクちゃんに会いたい人は要チェックだ。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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