後脚に生まれつきの障がい 心を閉ざしていた保護犬がスタッフに甘えるように ベビーカーに乗ってのお散歩にご機嫌

保護犬の譲渡活動を通じ、「殺処分ゼロ」の実現を目指すピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。2020年、同団体に迎えられた推定8歳のワンコがいました。名前はミコライオ。

保護当初は人間はもちろん、他のワンコにも心を開かず、ときに吠えて噛みつこうとしました。特に自動車や男性が苦手のようでしたが、それには理由がありました。

■威嚇は「ハンデのある自分を守るため」

ミコライオには、生まれつき後脚に障がいがあり、ハンデのある自分を守るために人間や他のワンコを警戒し心を開こうとしなかったのです。特に苦手なのは「強そう」に見える自動車や男性。たとえば自動車が走っていたり、男の人が何か急な動きをすると、すぐに反応し威嚇することがありました。

しかし、これまでに多くのワンコに接してきたピースワンコのスタッフは慌てません。ミコライオのペースを大切に接しながら、少しずつ心を開いてくれるよう世話を続けました。

■「敵じゃない」と思った人間には、むしろ甘えてくるように

当初こそ心を開いてくれませんでしたが、「この人は敵じゃない」「攻撃してくる人じゃない」と認識したスタッフには、むしろ甘えるようになりました。「なでて」「毛繕いして」といったアピールし、スタッフの横にちょこんと座るように。こういった場面でスタッフは「ミコライオに認めてもらったようです」とおおいに喜びました。

■後脚に負担をかけないようベビーカーに乗っての散歩

ミコライオは後脚に障がいがあるため、アスファルトなどの硬い地面を歩かせると、けがをしてしまう可能性があります。そのため、長時間の散歩には行けないのですが、せめて外の空気を吸ってほしい、いろんな景色を見てほしいと、スタッフはミコライオをベビーカーに乗せて散歩に連れていくようになりました。

そんな時、ミコライオは思いっきりの笑顔。自分の脚で歩けないことを不満に思うというより、むしろベビーカーでスタッフと一緒に外に行けることをおおいに喜んでいる様子でした。

■ミコライオが明るくなってくれたことがとにかく嬉しい

当初の性格が完全に変わったわけではなく、今でも知らない人の前では威嚇してしまうことがあります。また、大好きなご飯の時間で、他のワンコが邪魔してくると、ここでもやっぱり怒ります。

それでもミコライオが保護当時よりも明るくなったこと、そして一部だけかもしれないけれど人間に信頼を寄せてくれるようになったことが何よりうれしいとスタッフは語ってくれました。

保護犬と一口にいえど、そのバックボーンや性格は1頭ごと様々です。もちろん健康状態も1頭ずつ違い、ミコライオのような障がいを持つワンコは他にもたくさんいます。それでもピースワンコでは、1頭ごとに与えられた命を守るべく、今日も活動を続けています。そして、こういった活動の積み重ねによって、いつかピースワンコが目指す「殺処分ゼロ」にもつなげたいと願っています。

ピースワンコ・ジャパン

https://peace-wanko.jp/

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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