イノシシ捕獲のくくり罠で大けが 保護された犬はおびえた目をしていた 大手術で足先切断の辛いケースも
動物愛護センターに収容されるワンコは、1頭ずつ違う生い立ちを持っています。特に野犬だった場合、出自がわからないことが多い一方、深刻なけがを負った状態で保護されるケースも少なくありません。
2019年4月に愛護センターに保護されたイチキというワンコもまた脚に骨が見えるほど深刻なけがを負っていました。聞けばどうやら「イノシシ用のくくり罠」にかかったようでした。
■人間を怯えるように見つめていたイチキ
この話を聞きつけた動物保護団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)のスタッフはすぐに引き出し治療をすることを決意。片道2時間でしたが、動物愛護センターに向かいました。
対面したイチキは、あまりの痛さからか、それとも人間への不信感からか、おびえるようにスタッフを見つめていました。そんなイチキを興奮させず怖がらせないように、スタッフは少しずつピースワンコのケージへと移動させました。
そして、イチキの他にも行き場を失った複数のワンコを引き出すことにし、片道2時間の道のりを再び戻り、すぐに病院で治療してもらうことにしました。
■怪我の具合がひどく、足先を切断することになったフィン
ピースワンコの素早い対応により、イチキはなんとか治療に成功。少しずつ回復に向かっていきました。
しかし、別の日。
また動物愛護センターにイノシシ用のくくり罠にかかったワンコが収容されたと連絡がありました。フィンというワンコです。イチキの脚もかなり痛々しいものでしたが、フィンの脚もまた重傷とのこと。イチキ同様に引き出した後、すぐに病院に連れていきましたが、一部を切断せざるを得なくなりました。
治療を終えたフィンが少しずつ元気を取り戻してくれたことは幸いでしたが、このようなけがを負ったり、病気を抱えていたり、あるいは行き場を失ったシニア犬ワンコも動物愛護センターには多く収容されています。
ピースワンコでは、多くの保護犬を引き出し、新しい里親さんへと繋ぐ活動を行なっています。しかし「譲渡が難しい」と思われるこういったワンコもいるのが現実です。譲渡が困難と思われるワンコであっても、積極的に保護し適切なケアを続けます。どんなワンコにも、与えられた命を全うする権利はもちろんあるからです。
譲渡先を見つけるのが難しいワンコはピースワンコが取り組む「ワンだふるファミリー」の仲間となり、全国からの支援のもとで、他のワンコたちと一緒に同団体の施設で最後までサポートを続けます。
ピースワンコは、譲渡活動だけでないこういった取り組みを続けることで、「殺処分ゼロ」の日が来ることを願っています。そして、今日もまた、ワンコ1頭1頭に誠実に向き合いながら多くのワンコたちと一緒に生活をしています。
ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/
(まいどなニュース特約・松田 義人)