フリーアナ「神田愛花」の名字のルーツ 「こうだ」「かみだ」「じんでん」「じんだ」…中国地方以西では、増える読み方のバリエーション

フジテレビ『ぽかぽか』のMCなど、最近活躍の目立つフリーアナ神田愛花。元はNHKのアナウンサーで、「紅白歌合戦」のラジオ実況をつとめたこともある。

現在はセント・フォースに所属し、夫はバナナマンの日村勇紀。最近ではバラエティ番組への出演も多く、テレビ東京「大久保・川村の温泉タオル集め旅」にゲストとして出演すると、アナウンサーとしては珍しく入浴シーンも披露した。この「神田」という名字にはどういうルーツがあるのだろうか。

「神田」は全国ランキング300位以内というかなりメジャーな名字である。しかも全国に広く分布しており、特定の地名などをルーツとしているわけではないことがわかる。

「神田」とは文字通り「神の田」という意味で、本来は神様に捧げる米を植えた特別の田んぼを指していたと思われる。しかし、次第に広く神社の所有する水田全般を指すようになったとみられる。

江戸時代以前は米が経済の基本で、武士も寺社もその財産の源は所有している田んぼである。水田から獲れる米を換金することで経済活動を行うため、自らの田を所有する寺院や神社は珍しくない。

こうした寺院の所有する田んぼが「寺田」で、神社の所有する田んぼは「宮田」や「神田」である。神社は、この宮田や神田から獲れた米を換金して、神事や造営の費用、神職の給料などをまかなっていた。

現在、「神田」は沖縄も含めて全国に広く分布し、とくに新潟県・島根県・大分県などに多い。ただし、読み方は複数ある。

「神田」の本来の読み方は「かみた」だが、名字では「かんだ」と読むことが多い。とくに東日本では99%以上が「かんだ」で、それ以外は極めて少ない。

一方、中国地方以西では「かんだ」以外の読み方も多い。

山陽地方から九州北部にかけてや高知県では「こうだ」が多く、佐賀県では過半数、高知県でも半数近くが「こうだ」さん。高知県では高知市内に「こうだ」と読む地名もある。

沖縄県では「かみだ」が最多で3分の2を占めている。さらに広島県では9割近くが「かんだ」と読むものの、残りの1割強は「かみだ」「こうだ」「じんだ」「じんでん」と読み方が分かれている。

全国を合計すると96%ほどが「かんだ」で、以下は「こうだ」「かみだ」「じんでん」「じんだ」の順。いずれにしても、神社ゆかりの田んぼに因む名字である。

◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。

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