戻ってきたラッシュ時の人出…大阪圏で最も混雑する路線は 阪神間を走る私鉄線で顕著な増加
国土交通省は7月14日、都市鉄道の混雑率調査結果(2022年度実績)を公表しました。コロナ禍により、大幅に混雑率は低下しましたが、2022年度はどの程度、戻ったのでしょうか。関西大手私鉄を中心に見ていきます。
■三大都市圏で最も平均混雑率が低い大阪圏
国土交通省は通勤通学時間帯における鉄道の混雑状況を把握するため、混雑率調査を毎年度実施しています。混雑率は最混雑時間帯1時間の平均を指します。
大阪圏主要区間の平均混雑率は109%でした。東京圏は123%、名古屋圏は118%となり、三大都市圏では大阪圏が最も平均混雑率が低いという結果になりました。
2021年度と比較すると、大阪圏は5%増に対し、東京圏は15%増、名古屋圏は8増%という結果に。こちらも大阪圏が最も低い数値をたたき出しています。
次に大阪圏の路線別混雑率ランキングです。それぞれの区間は各路線の最混雑区間です。2021年度1位は近鉄奈良線河内永和→布施間の119%でした。2022年度は阪急神戸本線神崎川→十三間の134%が1位になりました。
神崎川→十三間の前年比は19%増となり、高い伸びを記録しました。神戸本線は宝塚本線、京都本線と比較しても混雑率の伸び率は高いです。参考までに宝塚本線は前年比7%増、京都本線は微増でした。
興味深いのは阪神本線の混雑率です。混雑率自体は出屋敷→尼崎間の96%ですが、前年比は13%増と阪急神戸本線ほどではありませんが、比較的高い数値を記録しました。
2021年度混雑率1位だった近鉄奈良線は最混雑区間が河内小阪→河内永和間になり、混雑率は114%でした。河内永和駅ではJRおおさか東線に乗り換えできます。
■輸送人員も阪神間の伸びが目立つ結果に
次は最混雑時間帯1時間の輸送人員を前年度と比較します。阪急神戸本線神崎川→十三間では1時間あたり編成両数8.6両・本数24本が運行されます。これは2021年度も変わりません。一方、輸送人員は30488人から35638人、前年比17%増でした。
同じ阪神間を走るJR神戸線尼崎→大阪間(快速)の輸送人員は16800人で、前年比18%増。しかし、塚本→大阪間(緩行)は減少しました。阪神本線出屋敷→尼崎間の輸送人員は16661人で、前年比15%増でした。
近鉄奈良線の輸送人員は河内小阪→河内永和間24520人となり、昨年度よりも9%減少しています。大阪線俊徳道→布施間も同様に減少しました。
一方、南大阪線北田辺→河堀口間の輸送人員、けいはんな線荒本→長田間の輸送人員は横ばいでした。
南海は南海本線粉浜→岸里玉出間の輸送人員は18093人。高野線百舌鳥八幡→三国ケ丘間の輸送人員は23457人で、両線とも微増でした。京阪は野江→京橋間の輸送人員は32007人、前年比7%増でした。
このように混雑率、輸送人員をとっても阪神間を走る私鉄線の増加傾向が顕著になっています。来年度もこのような傾向が続くのでしょうか。
※記事を一部修正しました(7月23日18時25分)
(まいどなニュース特約・新田 浩之)