終の棲家のはずが…「なぜ、そんなに早く手放したの?」 築浅中古物件、売却に至った“衝撃の理由”を聞いてみた
マンションでも戸建てでも、中古物件を探す中で「築数年」程度の築浅物件が時々見つかります。「終の棲家」として購入することが多い住宅用不動産をわずか数年で手放す理由、気になったことはありませんか? 実際に新築購入したわが屋を手放した人たちに話を聞いてみると、そこには思いがけない衝撃の理由がありました。
■せっかくの新築マンションが理由で離婚
Aさん(関東在住、30代、会社員)はマンション購入が原因で離婚を決意、結局新居にはわずか3カ月しか暮らしませんでした。
夫とは、それまで多少の考え方の違いがあっても「決断が早くて頼もしいな」「まあそういう考え方もあるか」とあまり気にしないようにしていたAさん。
しかし、「終の棲家」「一生に一度の大きな買い物」と言われるマイホーム購入のときも、Aさんの意見や考えは一切受け入れず、どんどん話を進めていく夫に不安と不満が募ってしまったそうです。
「人気のある部屋がいい部屋。ゆっくり比較検討なんてしていたら不人気物件しか手に入れられない。申し込んでから考えればいい」「ローンを組むのは自分。自分に決定権がある。家電はともかく家具を選べばいいでしょ?」「部屋が狭い?毎日通勤を考えたら同じ予算で駅から近い方がいい」などなど…。
結局溝は深まるばかりでAさん夫婦は離婚。Aさん自身は今は実家にもどられているそうですが「もしも子どもができていたら、なかなか決断できなかったと思います。夫に見切りをつけることができたという意味では、あのマンションのおかげですね!」とさっぱり。
複数希望者が出て抽選の結果当選したマンションは、購入時とほぼ同額で買い手がつき、手放すことに。それもスムーズに離婚できた理由だったのかもと思うと、元夫の「物件選び」も間違いではなかったのかもしれませんけど…と一瞬だけ複雑そうな表情でした。
■まさかの転職&介護&進学で一家離散状態に
産まれも育ちも関西のBさん(関西在住、40代、主婦)夫婦。双方の実家は近距離にあるものの、Bさんの実家は古いマンション、夫の実家はすでに夫の兄夫婦が同居済みということで、大手ハウスメーカーが開発した分譲戸建てを購入することに。
住み始めて3年は何も問題なく暮らしていたのですが、ある日突然夫に転勤の打診がありました。勤めていたのは関西本社の中堅メーカーだったため、転勤とは一生無縁と思っていたところ、会社が関東に拠点を作ることになり、その責任者として白羽の矢がたったのだとか…。
突然のことに驚く間もなく、今度は高校生の子どもが「どうしても憧れの部活がある地方の大学に行きたい」と言い出しました。さらに今度はBさんの両親が物忘れと体力の衰えが不安な状態に。
結局「10年は家族がそろって暮らせることはないだろう」という状況が確定し、まだ築数年だった分譲戸建てを売りに出したそうです。
「賃貸に出すことも考えたのですけど、不動産屋さんに『今ならいい値段で売却できますよ』って押されて。事故物件でもなく空き家期間もない築浅・大手ハウスメーカーの分譲戸建てって珍しいですもんね」と納得はしつつも、寂しげにお話されていました。
■予定外の双子妊娠!子育て環境優先で引っ越し
不妊治療で第一子を出産後「もう大変だった不妊治療は卒業。一人娘と過ごす時間を大切に3人家族で暮らそう」と決めたCさん(関東在住、40代、主婦)。
こぢんまりとした駅チカの土地に、家族3人暮らしにピッタリサイズの注文住宅を建てました。このまま平穏な毎日が続く…と思っていたある日、思いがけなく妊娠が判明、しかも双子であることがわかります。
もともと「3人家族」を想定した狭小住宅。新たに家族を迎える余裕は残念ながらありません。
妊娠で思うように身動きが取れず、パートもいったんやめることになったCさん。夫だけの世帯収入では、ローンを抱えたままほかの家に引っ越すのは難しそうです。一方で、今の家をいざ売却しようと思っても、注文住宅で上物にお金をかけてしまったため、売値もローン残債の一括返済に足りそうもありません。
そんな八方ふさがり状態だったCさんを救ってくれたのは、実家のご両親でした。
「少し古くなるけど、こちらの方が広いから。水回りをリフォームしてあげるから住みなさい。かわりに私たちがそっちに移るから」と「家交換」を実施。子どもたちのためのスペースは最低限確保できる見込みになりました。
「一生の住まい」と考えての家購入を考える方が多いと思いますが…「何が起こるかなんてわからないですね…」と、今は子育てに忙しいCさんの言葉。とても重みがあります……。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)