錆びついたケージの中、痩せこけていた姿にショック…「この子に家に来てほしい」 迎えた猫は、すぐお腹を見せてくれる“甘えん坊”
ジンくん(7歳・オス)は、あまり良くない環境の繁殖場にいたのだが、保護団体にレスキューされた。保護当時6歳くらいだった。後にジンくんを迎えた神奈川県在住の城さんは、錆びついた小さなケージに入れられていたガリガリで毛並みも悪いジンの写真を見た時、ショックを受けたという。
城さんは、ご縁があれば犬でも猫でもいつかお迎えできればと考えていたが、何年も先の話かなと思っていた。
「2021年11月、譲渡会に行ったのですが、譲渡会とはどんな感じかなと思って見に行っただけで、その日にご縁があるとは思いもしませんでした。会では小さな子猫や若い猫が人気でしたが、大人猫のジンはいろいろな人に抱っこはされていたものの、あまり人気はないようでした」
城さんは、心のどこかで「お迎えするなら短毛で小柄のメスの子が良いかな」と考えていた。しかし、長毛、大型、オスと正反対のジンくんを見てなぜか「あ!この子に家に来てほしい!」と心が決まったそうだ。
「その場で夫と、家は猫と一緒に住める環境か話し合い、必要な物の手配段取りを考え、『よし、ジンくん責任持って引き取れるね』となり、その場で申し込みをしました。いつもはどちらかというと慎重過ぎて腰が重いのですが、その場で決められたのは、普段からいつか動物を飼ったら、とシミュレーションしたということもありますが、やはりご縁があったのだと思います」
■同居人が増えた
ジンくんを家に連れてきてもらうと、初めの1時間ほどは少し緊張気味で、家中あちこち探検していた。しばらくするとすぐに慣れてきて、夜になると夫妻にふみふみをしてくれて驚いたという。
「過酷な生活をしてきたとは思えないほどの人懐っこさを初日から見せてくれました」
ジンくんという名前は保護団体の人が付けてくれたのだが、繁殖場で育ったジンくんにとって、それは初めての名前だった。慣れたところで名前がまた変わるのはかわいそうかなと思い、そのままにしたそうだ。
ジンくんは、初めて会う人にもすぐお腹を見せて、撫でてとアピールをする甘えん坊。とても食いしん坊で早いとごはんの時間の2時間近く前からごはん入れの前で待っている。人の頭をペロペロするのが大好きで、断ると「僕の好意を無下にするなんて!」みたいな顔をして不満そうにしていてかわいいという。
「特にまだ生後8カ月の娘のことをジンは妹のように思っているみたいで、隙あればくっついていたい、ペロペロしたいようです。最近は私達に注意されるからか、我慢してくれていますが」
幼い頃からずっと狭いゲージの中にいたせいか、家に来たばかりの頃は後ろ脚の筋肉が落ちていて、椅子にさえジャンプして上がることができなかった。最近は筋肉もついてきて、あちこちジャンプして登れるようになりましたそうだ。ただ、失敗して脚を踏み外していることがよくあるので、元々ちょっと鈍臭いのかもしれない。
「ペットを飼ったというよりは、気の合う同居人が増えたような感じです。私達の生活にジンくんから溶け込んでくれたので、とても良い意味で迎える以前とあまり変わらないです」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)